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スポーツとイノベーション

中国は競技人口3.5億人へ、日本の先行く世界のeスポーツ

Sport Innovation Summit 2018 Tokyo報告(3)

2019/02/04 05:00

浅野 智恵美=ライター

eスポーツチームの資金調達相次ぐ

 パゴット氏はeスポーツの収益性についてプレゼンテーションした。Fnaticの収益性は従来のモデルとは異なる。

 パゴット「eスポーツは未来のスポーツで、エンターテイメントです。我々がどのように収益性を確保しているのか。従来のeスポーツチームの収益は80%がスポンサーシップから、残りがプロダクトやマーチャンダイズから上がっていました。しかし、我々の場合はおよそ50%が商品やマーチャンダイズ、40%がスポンサーシップ、残りがゲームとなっています」

従来のeスポーツの収益内訳。約80%がスポンサーシップ収入となっている
(図:Fnatic)
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Fnaticの収益内訳。約50%がマーチャンダイズなどとなっている
(図:Fnatic)
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 パゴット「これはすべてのスポーツチームに当てはまりますが、チーム収入はあるものの、給与やフランチャイズの問題など、それを超えるコストがかかっています。それでもeスポーツが成長し続けるのは、大量の投資マネーが入ってきているからです。私たちも例外ではありません。Fnaticはブランドとして700万ドルを獲得することができました」

eスポーツチームの資金調達の事例。米国のチーム、クラウドナインは5000万ドルを調達。2009年設立のeスポーツチームTSMは2018年に3700万ドルを、フランスを拠点とするTeam Vitalityは2270万ドルを調達した
(図:Fnatic)
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 パゴット「スポンサーが付いていない、リソースがないというチームはどんどんリーグから離れています。各チームは組織内できちんとしたリーダーシップ、そしてマネジメントがないと、運営はなかなかうまくいきません。若者にリーチする狙いもあり、今では初期と比べてビデオゲーム以外の企業も、たくさんスポンサーとして参加しています。我々としてもスポンサーのロゴなどをシャツやジャージに付けるだけでなく、一緒にイベントを開催するなどし、多くの消費者が彼らのブランドやプロダクトにリーチできるように支援しています」

 さらに同氏は収入源についてこう続ける。

 パゴット「eスポーツの賞金は非常に多額です。例えば、2018年に開催された「Dota2」の大会では、優勝チームは1000万ドルを獲得しました。これを5人のプレーヤーで分割したのですが、マネジメントの取り分は10%です。ほとんどのお金が選手に渡されました」

Fnaticのパゴット氏

 パゴット「eスポーツでは、ユーザーとコミュニティーの役割が非常に大きくなっています。例えば、ゲーム内で使うアイテムやマーチャンダイズなどを、きちんとデザインすることが重要です。ゲーム内で特定のチームのものを購入すると、その代金の一部がチームに収入として入ってきます。パブリッシャーとどういった契約をするかでパーセンテージは決まりますが、これもチームの収入源のひとつです。また、オンラインに限らず、オフラインでもステッカーやシールを販売しています。パブリッシャーだけでなく、メーカーと協力し、アイテムをデザイン段階から設計することもあります」

 Fnaticでは業界で初めて、工場やデザイナーと協力し、ハードウエアなどを独自でデザイン、企画・開発・販売したという。

 パゴット「現在の我々の課題は、能力のある新しい人材をどのように確保するかです。そこで、アカデミーチームを作り、ここで訓練を積んでもらいます。人材を育てて実績を残した上で、しかるべき報酬で選手が移籍する。移籍金はチームにとって貴重な収入源になります」