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スポーツとイノベーション

「スポーツ体験」、2020年のレガシーどうつくるか

「スポーツアナリティクスジャパン2017」から(5)

2018/02/07 05:00

浅野智恵美

“2020ロス”の国民をどう鼓舞するか

森田 今のような話も今後どんどん出てきますし、避けられない未来だと思いますね。「クリスパー・キャスナイン」という、遺伝子操作を簡単に行う仕組みがありますが、遺伝子を譲歩したりコピーして買えたりするようになると、足が早くなる遺伝子を埋め込むこともできるようになります。そうなると、どこまでがOKでどこまでがダメなのか、線引きがよく分からなくなる。

 あとはオリンピアンとパラリンピアンと、もう1つ、ロボットという世界が来たときです。ロボットがサッカーをする映像を見ましたが、ロボットにはポジショニングの概念がなく、ボールがある場所に取れそうな瞬間に集まり、取れたら攻めるといったことを繰り返します。それを見たとき、歪んでいるようですが、ひょっとしたらロボットやAIが描いた未来を人間が取り込んで、さらにサッカーにイノベーション起こしていく、それを見て楽しむといった楽しみ方になっていくのかもしれないと感じました。プリミティブなガチ勝負との二分化になるのかなと思います。

野坂 最後に、2020が終わって“2020ロス”になっている国民たちをどう鼓舞するのか、もしくはどうサポートするのかを一言ずつお願いします。

澤邊 2020年は日本の再生であり、新しい未来をつくる起爆剤になってほしいですね。先ほどのメガネの話もそうですが、視力を2.0に近づけようとするのは機能補完でソリューションだと思うのですが、視力3.0のような見えないものが見えるのは“補完”ではなく“拡張”です。それがイノベーションだと思っていて、日本は今ソリューションでやってしまっている。

 もちろんニーズもありますし、短期的にはBtoBなどで儲かるのですが、長期的に見たら海外で真似されてクオリティ低下を招く要因なっています。イノベーションをいかに多くつくっていけるか、それが試されていると思います。それができたときに2020年を迎えれば、2020ロスがあってもレガシーは残るので、そこは日本人が意識して新しい掛け合わせや拡張を考えていく。そうすれば未来はもっと楽しいものになると思います。

岩佐 終わった瞬間は喪失感を抱いてもプロダクトは残るので、実は2020ロスはあまり意識していないというのが正直な答えです。逆に2020に乗じてマイナースポーツを中継できる機器をつくるなどして、2020までにたくさん普及させれば、それを使ってその後もデータを配信する人やスポーツを楽しむ人が出てきます。僕らは「こういう機器を使ってこのスポーツをもっとビジュアライゼーションしよう」とか「パラスポーツ世界各国くまなく届けていこう」ということを粛々とやっていくだけです。まずは楽しいアイデアを出すというアプローチをしていこうと思っています。

森田 2020年に世界最高峰のアスリートが東京に集まり、それを観ることによって「自分もやってみよう」と、何人くらいの子供たちに思ってもえらえるのか、それがひとつのレガシーだと思います。観て、すごいと感じ「自分もやろう」という変換をどのようにつくるか。

 やってみたいと思ったときに簡単にできる環境をつくる、そこまで設計する必要があります。テクノロジーだけではないと思いますが「やってみたい・やったんだ」というところまで、体験をデザインできればいいなと思います。