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今なぜPXなのか、欧米病院の取り組みに学ぶ

【第5回】PXは日本でも有用か?

2016/11/02 00:00
曽我 香織=スーペリア 代表取締役社長(PX研究会 代表)

 過去の連載では、企業事例を中心にCX(Customer eXperience;顧客経験価値)について触れてきた。今回からは、医療現場に特化したPX(Patient eXperience;患者経験価値)の先進的な取り組みを紹介していきたい。本稿では、PXが注目されるまでの背景および欧米で取り組まれるPXに着目する。

いち早く着手した英国

 そもそもPXとは、患者本位の医療サービスを提供するための比較的新しい指標である。一律の医療サービス提供体制から脱却し、患者個人にとって最適な医療サービスを提供することを目的とする。

 PXの取り組みにいち早く着手したのは英国だ。時代は少々さかのぼるが、ブレア政権が1997年より医療制度改革の名の下に医療費の拡大や医療の質向上に取り組んだ際、これまでの「与えられる医療」から「参加型の医療」、すなわち患者中心に考える医療政策へと方向転換がなされた。その中で患者の医療経験を調査し結果を公表することが決定された。この時開発された患者調査プログラムを原型として、2002年には世界で初めて公的医療制度であるNHS(National Health Service;国民保険サービス)主導でPXサーベイが開始された。

 同年、米国でも公的なPXサーベイ票の開発が進められていた。2006年には、CMS(Centers for Medicare & Medicaid Services;厚生省・公的医療保険センター)が主導となってHCAHPS(Hospital Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems;エイチキャップス)と呼ばれるPXサーベイを実施。PXサーベイのスコア結果が良好な病院には金銭的なインセンティブが発生するなど、病院経営者にとっても無視できない指標となっている。

PXは日本でも有用なのか

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 このように、英国や米国では公的機関が旗振り役となってPXの向上に取り組んでいる。医療制度や環境の異なる日本でも、PXは有用なのだろうか?

 日本の病院は株式会社と異なり、利益追求よりも社会的役割が求められてきた。しかし近年、人口構造の変化などの時代背景から医療政策も変化し、経営的な視点に欠ける病院は淘汰され、破綻する例も見られるようになっている。

 実際のところ、筆者も病院経営者の方から「患者の奪い合い」という言葉を聞くことも多くなった。「奪い合い」という表現が適切かはさておき、病院も企業と同じく、顧客である患者から選ばれるために自助努力が必要な時代となったことがうかがえる。

 患者から選ばれるためには、患者が病院や医療者に何を求めているのか、どのような医療サービスを提供できているのかについて正確に知る必要がある。PX(Patient eXperience)は日本語で「患者経験価値」と訳される通り、患者が実際にどのような医療サービスを経験しているのかを客観・主観両面の指標から把握し、患者中心の医療が提供できるよう改善につなげていく。PXは日本の医療現場にもフィットする考え方であると思われる。

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