職種間の境界を緩めればうまくいく(page 2)

黒田知宏氏 京都大学医学部附属病院 医療情報企画部 教授

2017/06/12 09:30
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

リスクは承知の上

クリックすると拡大した画像が開きます
 ICTは、実はすごく大きなコストでもあります。情報がほしい瞬間は必要な存在ですが、それ以外の時間はただコストを払い続けているだけなのです。入力や送信などの手間もかかります。このようにコストになる以上は、社会システムとして実装するべきだと思うのです。

 ある程度公的なお金を使ってシステムを整備し、使った分だけ利用料を請求するという仕組みにするのが良いのではないでしょうか。ICTを導入したから何かが起きるという視点ではうまく回らないと思うのです。

 新しい仕組みを導入するとどうなるかは、実際にやってみないとわかりません。その際に生じるコストはどこかが払わなくてはいけないのです。インターネットも誰でも使える状態にしているために、それを利用したさまざまなサービスが登場してきています。

 もちろん、新しい仕組みを導入する際には必ずリスクが伴います。講演をしていると、「そんなことをしたら個人情報漏れませんか」と言われます。最近ははっきりと「漏れますよ」と言うようにしています。なぜなら、大切なのはリスクとメリットの比、そのバランスだと思っているからです。コストはかかりリスクもある、でもモノがある、というものを先に作ってしまうべきではないでしょうか。

 私はエンジニアです。その立場で言うと、エンジニアが最も成功したといえるのは、自分の存在が必要なくなることだと思っています。自分がいなくなってしまった後も、自分の作ったものが世の中にあり続ける。これが正しいあり方だと思っているのです。

 ICTを使うことはリスクも伴いますが、うまく使えばあなた(誰か)がいなくなっても、あなた(誰か)がいたことを確かに形として残すことができます。アカデミアの人間としてこういったことを発信し、医療の世界におけるICT活用についても守りではなく攻めの姿勢に持っていきたいと思います(談)。

お知らせ

ピックアップPR

もっと見る

記事ランキング