実証は「弊害」を覚悟の上で

吉田宏平氏 総務省 情報流通行政局 情報流通高度化推進室 室長

2017/06/07 05:30
大下 淳一=日経デジタルヘルス

 「こんな仕組みがあったらいい」から抜け出せていないのが、ICTを用いた多職種連携のこれまでの試みだったと思います。そこから抜け出すためには、KPI(評価指標)をどう設定するかを突き詰める必要があります。それによって「なくてはならない」にどこまで切り込めるかが勝負でしょう。

総務省 情報流通行政局 情報流通高度化推進室 室長の吉田宏平氏(写真:加藤康、以下同)
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 医療コンシェルジュという仕組みを取り入れるなら、医療・介護従事者の仕事をどこまで肩代わりできるのか、それによって多職種連携がどこまでスムーズになるかが評価指標の一つになると思います。導入したらそこから離れられなくなるくらいの仕組みを、ぜひ考えたいものです(関連記事)。

 ICTの強みは数値化、つまり評価指標の見える化を可能にすることです。数字にしてみて、それが現場の実感とどれほど乖離(かいり)しているかを把握する。まずはそれが大切でしょう。デジタルが万能とは思いませんが、デジタルを活用しなければその乖離は見えてこないはずです。

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 その実証の場としての特区は、「近未来技術のショーケース」の役割を果たせると私は考えています。そのためには、その特区が医療・健康・介護へのデジタル活用の中心地だと映るような見せ方の工夫や、どれだけ多彩なプレーヤーを集められるかが重要です。生活基盤を支える物流やインフラのプレーヤーにもぜひ加わってもらいたい。

 実証事業は、それを成功させることを目的化してしまうと、実証の範囲を狭く設定してしまいがちです。さまざまな弊害が生じることを覚悟したうえで、それを含めた実証だと割り切ることが必要ではないでしょうか。皆がためらうことなく足を前に進められる、そんな実証事業が望ましいと考えています。(談)

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