医師自ら書類を書いていたら、私は怒ります

白石 吉彦氏 隠岐広域連合立 隠岐島前病院 院長

2018/05/21 10:00
増田 克善=日経デジタルヘルス

 隠岐諸島の医療環境で最も大きな問題は、働き手がいないことです。島外から何とか人材を確保しようと情報発信に努めた甲斐があり、幸い今では毎年100人程度の医学生や看護学生、療法士などが当院に来てくれています。

隠岐広域連合立 隠岐島前病院 院長の白石 吉彦氏(写真:加藤 康、以下同)
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 そのうち毎年数名が就職してくれています。30人いる看護師の半数は、Iターンで地元就職した人たちです。

 高齢者や女性が働き続けてもらえるよう、定年延長制度を活用したり、主に職員対象の病児・病後児保育を院内で実施したりするなど、子どもが熱を出しても通常通り働ける環境づくりをしてきました。こうした仕組と仲間づくりが上手くいくと、高齢者や女性スタッフが離職することなく働き続けてくれます。

 常勤医に関しては、6人すべてが総合診療医ということもありますが、職歴で業務や責任負担が集中しないよう、ゆるやかな主治医制を採っています。外来診療では、(医師に加えて)問診する看護師1人、診察を補佐する看護師1人、医療秘書1人の4人体制で行っており、電子カルテ端末が各人に配置されています。私が電子カルテ端末に向かうことはほとんどなく、入力はすべてスタッフに任せ、カルテ承認のクリックをするだけです。

 病院医師の業務は、書類作成などの事務作業が非常に多い。しかしながら私は、紹介状や入院計画書などを書きません。当院ではこうした書類づくりをすべて医療秘書に任せています。他の医師にも同様の指導をしており、自ら書いていたら怒るぐらいです。

 こうしたタスクシェアリングを実現したことも一因となり、この病院で働きたいと思う医師が島外から来てくれ、上手く回せています。

医療秘書は自ら勉強するようになる

 医療秘書を雇用できる人数(コスト)は、医師事務作業補助体制加算で一般病床数によって決まってくるため、当院では(コスト上は)1人しか配置できないことになります。しかし、現在は4人が従事しています。医師の生産性を上げるためには、医療秘書は絶対いた方がいいと思うからです。経費負担を診療報酬でカバーできるよう緩和されれば、もっと医療秘書の活用が広まるのではと考えています。

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 診療現場での医療秘書の位置付けが高くなると、自ら医療の勉強をするようにもなります。当院では超音波診断装置をすべての外来診察室に配置し、肩や腰の疼痛に対して相当数のエコーガイド下筋膜リリース注射を実施しています。医療秘書はそうした処置を理解しており、言われなくとも「肩甲挙筋リリース」などと自ら入力するようになる。

 われわれ医師が指導したわけではないですが、医療秘書は自分たちの現場で行われていることを知りたいと思うようになるのです。そのため、理学療法士と勉強会を行って自ら学んだりしているようです。こうしてスタッフが現場でどんどん育っていき、それが彼ら彼女らの“やりがい”にもなっているのではと感じています。(談)