経営戦略がすなわち、働き方改革だ

三津原 庸介氏 日本調剤 専務取締役

2018/05/17 12:00
大下 淳一=日経デジタルヘルス

 コンビニエンスストアが全国に約5万店舗存在するのに対し、調剤薬局は約5万9000店舗。調剤薬局の数はコンビニエンスストアよりも多く、明らかに過当競争に陥っています。患者の満足度向上と薬剤師などの働き方改革を両立するという課題に、そうした環境のもとで向き合わなくてはなりません。

日本調剤 専務取締役の三津原庸介氏(写真:加藤 康、以下同)
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 「組織は戦略に従う」。働き方改革に対する我々の考え方を一言でいえば、こうなります。

 日本調剤は全国に調剤薬局をチェーン展開していますが、そのこと自体が効率化やタスクシェアリングの一環だと私は捉えています。一つの店舗や一人の人員がレセプトの扱いから税の申告、労務管理までのすべてを担うのではなく、チェーン化してそれぞれの業務を担う専門職を置く。店舗のチェーン化はその意味で、タスクシェアリングの一形態なのです。

 ただし、チェーン化には二面性があり、オペレーションの効率を下げてしまう側面もあります。我々の例でいえば、北は稚内市から南は沖縄まで店舗が分散している。オペレーション上、非効率な部分がどうしても多くなるわけです。

 そこで我々は20年以上前から、ICTの基幹システムを自社で開発してきました。このことが、オペレーションの効率改善、そして現場の働き方改革にもつながっている。ですから今この瞬間も、ICTは我々の業務に役立っていると言えます。

薬剤師の働き方をICTで見える化

 ICT活用の一例として、我々の調剤薬局では、静脈認証などICTの仕組みを使って、入退出管理などの労務管理を行っています。誰が投薬を行ったのか、処方監査を行ったのかなどをICTで可視化する。それによって、例えばこの薬剤師はずっと調剤室にこもって作業している、といった偏りが見えてきます。薬剤師の業務を良い意味で均質化でき、全体の生産性が高まるのです。

 残業時間がある水準を超えると、その店舗を担うエリアマネジャーに注意喚起が届く仕組みも導入しました。オペレーションを効率化しつつ、同時にそこに潜むリスクも抑えたいと考えているのです。

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 薬剤師の作業そのものの生産性も、まだまだ向上の余地があります。例えば、我々は電子薬歴を音声で入力できるシステムを10年ほど前から開発しており、やってみると驚くほどスピーディーに入力できることが分かりました。患者1人当たりにすれば数分の作業ですが、こうしたところへの投資も惜しみません。調剤作業そのものを機械化できる可能性もある。これには、システム当たり高級車1台分といった投資が必要になりそうですけれども。

 経営の視点から見ると、マネジメント教育、管理会計やプレゼンがきちんとできる人材の育成も大切な要素です。これからも経営戦略と現場の発想という両輪で、働き方改革を進めていきます。(談)