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暗い術野を照らせ! 「発光する鈎」は何がすごいのか

小切開手術に役立つコードレス鈎の活用シーンに迫る

2018/09/25 10:30
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス
出典: 日経メディカルOnline,2018年9月20日 , (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

開腹手術を行う際、術野の奥まで無影灯の光が届かず、患部が見にくい――。そんなとき、術者の“ともしび”となる鈎が登場した。LED照明を搭載したコードレス鈎「コウプライト(koplight)」だ(関連記事)。鈎の先端が発光して術野深部を明るく照らす。先端部は樹脂製で、電気メス使用に伴う熱傷や、強い力が加わった際の破損の恐れもない。

 様々な外科手術で使われる鈎は、術野を見やすくするために切開創の周辺組織を引っ張る器具で、あらゆる外科系診療科で使われる“名脇役”だ。しかし、近年の低侵襲化に伴い、切開創はどんどん小さくなり、そこから身体の奥深い場所にある患部の手術を行う際、無影灯の光が届かなかったり、術者の手が影になってしまうことで、明るい術野を得るのが難しいケースが増えている。術者が自らの頭部にライトを装着して術野を照らそうとしても、術者が見たい方向と光の向きが合わずにもどかしい思いをすることもある。

写真1 「コウプライト」を使用している様子(提供:安井)
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「いずれは、医療設備のインフラが整っていない国にコウプライトを提供し、多くの患者の福音としたい」と話す琉球大の清水雄介氏

 こうした課題を解決するために開発されたのが、LED照明を搭載したコードレス鈎の「コウプライト」だ(写真1)。琉球大学形成外科学講座教授の清水雄介氏が安井(宮崎県東臼杵郡、社長:松田哲氏)と共同で開発した。2016年11月にクラスIの医療機器として販売を開始した。

 コウプライトは、鈎自体を光らせて視認性を向上させ、術者が作業を行いやすいようにした。特に、「小さな傷口から深部の操作を行う際に有用」と清水氏は話す。

 プラスチック製の先端鈎部とアルミニウム製の照明部の2つのパーツから成り(写真2)、先端鈎部は使い捨てで、照明部は滅菌することで繰り返し使用できる。先端鈎部の形状は8種類あり、状況に応じて付け替えが可能だ(写真3)。

写真2 光る鈎「コウプライト」。左側が先端鈎部で、右側が持ち手兼照明器
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 持ち手部分の照明器には乾電池式のLED照明が搭載され、先端鈎部はポリカーボネート樹脂という素材を用いている。この樹脂部には、樹脂の屈折率と空気の屈折率の差を利用して光を外に漏らさずに樹脂内で反射を繰り返して先端に伝えられるという特徴がある。ちょうど光ファイバーが、管の中を光が反射を繰り返して先に伝わっていくという仕組みと同じだ。コウプライトの場合は、持ち手のLEDの光が鈎内部を反射して進み、鈎の先端まで到達して術野を明るく照らす。

写真3 先端鈎部は8種類の形状を用意している
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 既に国内の病院に広がりつつあり、乳腺外科や形成外科を中心に多くの診療科で活用され始めた。最近では台湾と韓国でも販売を開始し、イタリアやニュージーランド、スペインなどでも販売していく計画だ。

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