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経産省による“優良ベンチャーえこひいき”のワケ

「J-Startup」、デジタルヘルスベンチャーが多数選出

2018/08/27 10:30
大下 淳一=日経デジタルヘルス

 世界で戦って勝てるベンチャーを選抜し、官民の集中支援を通じてグローバルでの成功事例を作る――。経済産業省は2018年6月、そんな目標をうたうベンチャー支援策「J-Startup」プログラム(以下、J-Startup)を立ち上げた。あまたのベンチャーから有望な企業を「えこひいき」(経済産業大臣の世耕弘成氏)して育てるという、これまでになかったタイプの産業振興策である。

J-Startup企業や推薦委員、サポーター企業などが登壇するイベント「J-Startup サロン」の様子(出所:経産省)
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 経産省が今回、“特待生(J-Startup企業)”として認定したのは92社。これらの企業に対して今後、政府および民間のサポーター企業が事業開発や海外展開を後押ししていく。

 この92社の顔ぶれを見ていくと、デジタルヘルスベンチャーが実に約1/5となる20社近くを占める(PDF形式のJ-Startup企業リスト)。エクサウィザーズ、エルピクセル、O:、キュア・アップ、トリプル・ダブリュー・ジャパン、FiNC、HoloEyes、mediVR、リーズンホワイ、リバーフィールドなどだ。デジタルヘルスがJ-Startupの大きな柱となる分野であることがうかがえる。

 J-Startup立ち上げの狙いとは何か、「えこひいき」が意味するところとは。同プログラムを担当する経済産業省 経済産業政策局 新規産業室 室長補佐の羽端大氏(肩書きは取材当時、現在は留学中)に聞いた。

「カズ」や「ヒデ」のような存在を

 「現在は第4次ベンチャーブームと言われるが、ここ数年の景気動向に支えられてきた面も大きい。界隈では盛り上がっていても、全国規模で見れば起業の動きはまだまだ少ない。起業が特別なことではないという文化を日本に根付かせるために、ベンチャーをめぐるエコシステムを今よりもぶ厚くしたい。そのための仕組みがJ-Startupだ」。羽端氏はこう説明する。

経済産業省の羽端大氏
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 その手段として“えこひいき”、つまりできるだけ多くのベンチャーを支援しようとするのではなく、特に有望なベンチャーに対象を絞るのはなぜか。そこには、多くのベンチャーがあこがれ、目標とするようなロールモデルを育てる狙いがあるという。

 ロールモデルとは、いわばサッカーにおける「カズ(三浦知良氏)やヒデ(中田英寿氏)のような存在」(羽端氏)。両選手がいち早く海外でのキャリアを切り開いたことで、日本人選手が海外リーグで活躍する姿は今では当たり前になった。2018年ロシアW杯での日本チームの活躍も、こうした選手層の厚みが下支えした。

 日本のベンチャーにもこうした厚みを持たせたい、というのが経産省の狙いである。「まずはベンチャーの中でもトップグループを引き上げ、海外展開を支援する。このことが、日本のベンチャー全体の底上げや海外でのプレゼンス向上につながる」(羽端氏)と見ている。

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