アラートによって負担は「増えない」

 アラートを通知することで、看護師の負担は増えないのだろうか。もともと、看護師は記録業務以外のほとんどの時間を訪室に使っているため、「負担は増えない」と森口氏は断言する。予兆の有無によって訪室の順番や回数を決められるようになれば、むしろ業務効率化が期待できるともいう。

 また、不穏行動が起きるのは夜間が多い。夜間せん妄も含めると、全110床の北原国際病院では、ほぼ毎晩1人か2人の患者が不穏状態になるという。そうなると、1~2人の看護師がその患者に付き添う必要が生じ、他の患者への対応が遅れてしまう懸念がある。予兆の段階で不穏行動を防げれば、看護師が付きっきりになることなく、こうした課題を解消できる可能性がある。

 同じケアを行うにしても「不穏行動に対処するのと予防するのでは、看護師の精神的負担が大きく違う」と森口氏は強調する。不穏行動を起こしてしまった場合は、患者の興奮を抑制するために、体を拘束したり強い薬を投与したりする場合もあり、看護師にとってはマイナスイメージが強く、積極的に関わりたくないものだ。一方、ケアで不穏行動を防ぐことができれば、看護の本領を発揮できるものとして看護師の満足度は高いという。

 KNIはNECと共同で、将来的には、不穏行動を予防するためのケアの記録をAIに学習させ、適切なケアの方法をアドバイスする機能も搭載したい考えだ。今秋の病院への導入で大きな成果を上げられれば、不穏行動を防ぐ特効薬として他の医療機関での活用も進みそうだ。

出典:2018年8月21日 日経メディカルOnline
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