慶応医学部「iPhoneアプリ臨床研究中止」の波紋

迫る“アプリ時代”に向け、何を学ぶべきなのか

2017/05/08 08:30
大下 淳一=日経デジタルヘルス

 慶応義塾大学医学部が2017年2月末に発表した1本のニュースリリースが、業界に波紋を広げている。2015年11月に公開したスマートフォン向けアプリケーション「Heart & Brain」の提供を、2017年1月21日に中止したとの内容だ(関連記事1)。

 研究の進め方について、医学部倫理委員会に申請された研究計画と一致しない部分があったことが判明。医学部長名で研究実施の許可を取り消したのである。

波紋を広げる起点となった慶応医学部のニュースリリース
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 臨床現場でスマホアプリを活用しようという機運は、にわかに高まってきている。背景には、アプリの作成・活用がより身近になってきたことに加え、2014年末に施行された「医薬品医療機器等法(薬機法)」において、スマホアプリなどの単体ソフトウエアが医療機器として認められるようになったことがある。

 アプリが病気の早期発見やコントロールにどのような有効性を持つのか――。そうした視点で実施されるアプリ活用型の臨床研究は今後も確実に増えていくだろう。一方で、新たな形態の臨床研究だけに“前例”が少なく、アプリに特有のスキームも固まっていない。

 アプリを用いた臨床研究では、どのような点への配慮が必要になるのか。そして、アプリ活用型研究にふさわしいガイドラインや倫理規定とはどのようなものか。今回の慶応医学部の一件は、これらを考えさせるキッカケを与えたといえる。

 そこで本誌は、スマホアプリやそれを用いた臨床研究、医薬品医療機器等法などの法令やガイドラインに関する知見を持つ、複数の業界関係者に取材。慶応医学部の事例から「何を学ぶか」を探った。

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