これが「8K腹腔鏡」手術の実力だ(page 4)

毛細血管まで鮮明、高精細映像は手術をどう変える?

2018/04/25 11:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス
出典: 日経メディカルOnline,2018年4月24日 , (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

見えてきた課題

 既に実施した2症例から、8K腹腔鏡システムの課題も見えてきた。

 第1に、腹腔鏡を固定しているため、一視点からの映像しか得られないこと。前述のように、拡大像を得るために腹腔鏡を患部に近付けずに済むのは大きな利点だが、スコープを固定することで、患部に回り込んで撮影、確認するようなやり方が難しくなっている。

「いずれは腹腔鏡手術以外でも8K技術が使えるようになれば」と話すNHKエンジニアリングシステムの伊藤崇之氏
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 そのため、回り込んだ映像も撮影できるよう、「(腹腔鏡を固定している)アームの柔軟性を改良したい」とNHKエンジニアリングシステム専務理事の伊藤崇之氏は話す。このほか、腹腔鏡に搭載するカメラを小型化して複数設置する方法も検討されている。

 第2に、全体像から拡大したい部分を切り出す操作をするスタッフに、執刀医が指示をする手間の問題がある。手術台から離れた位置にあるコンソールで映像を切り出す操作を行うため、拡大してほしい箇所に執刀医が鉗子を当てて、「ここを中心に拡大してください」などとその都度伝える必要がある。指示が通るまでは、執刀医の手は止まった状態で、手技を進めることができない。こうした「間」が生じてしまうことが、医師のストレスとなっている部分がある。

 従来のシステムでは、執刀医の横にいる助手が腹腔鏡を動かすことで拡大像を撮影していたため、指示に伴う手間は少なかった。いかにしてストレスのないズームインを実現するかが今後の課題になる。

 今回の臨床試験で得られた成果は、大腸癌だけでなく、他の領域の治療や診断にも応用することを視野に入れている。例えば、カメラの小型化に成功すれば内視鏡検査にも応用できる。高精細という特徴を生かせば、視覚的に腫瘍の良悪性を判断できるようになることも考えられる。NHKエンジニアリングの伊藤氏は、「AIと組み合わせることで、より正確な診断につながる」とみている。

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