症例で出血量は0mL、5mL

 消化器分野などでは手術に占める内視鏡手術のウエートが高まっており、日本内視鏡外科学会が2016年に発表した調査結果によると、大腸癌では7割以上の患者に腹腔鏡手術が選択されている。ただし、「その精度はまだ開腹手術と同等とは言い難い」と金光氏は指摘する。

「執刀医が目を動かすだけでズームインの操作を行えるようになれば、ストレスがなくなるだろう」と話す国立がん研究センター中央病院の金光幸秀氏
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 今回の臨床試験では、8Kの高精細な映像を使うことで腹腔鏡手術の精度を開腹と同等以上にすることを狙う。対象は20~80歳代のステージI~IIIの大腸癌患者。深達度はT2~T4、リンパ節転移はN0~N3としている。2017年度に自由診療で2例に実施済みで、2018年度には先進医療Bとして23例に対し行う。

 現在、国立がん研究センターでは、大腸癌患者に対する腹腔鏡手術の適応を深達度T1~T3かつリンパ節転移N0~N1としており、臨床試験ではその範囲を広げたことになる。これは、8Kの高精細映像を武器にして「進行した癌に対しても質を損なうことなく手術ができることを期待しているため」と金光氏は説明する。

 臨床試験の主要評価項目は、術中出血量としている。日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の「進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術と開腹手術の根治性に関するランダム化比較試験」(JCOG0404)では、腹腔鏡手術の術中出血量の中央値が30mLだった(JCOG0404総括報告書による)。これに対して、既に実施した2症例では、それぞれ出血量を5mLと0mLに抑えられた。

 今年度、先進医療として行う23例では、出血量が30mL以上となる患者を全体の25%以下に抑えることを目標とした。このほか、術中の有害事象発生割合や完全切除率、開腹移行割合、外科医2人での手術完遂割合を副次的評価項目としている。