治療機器分野で、国内メーカーにとって悲願の世界一へ――。そんな目標を掲げ、がんをピンポイントで死滅させる粒子線がん治療装置で大きな勝負に出たのが日立製作所だ。2017年末、ライバルの三菱電機から粒子線治療装置事業を買収することを発表して関係者を驚かせた(関連記事1)。2018年6月までをめどに事業統合を完了させる予定で、粒子線治療の巨大企業が日本に誕生する。

 「粒子線治療分野で世界ナンバーワンを目指す。三菱との事業統合はその布石だ」。日立製作所で粒子線治療装置事業を統括する伊丹博幸氏(同社 ヘルスケアビジネスユニット 放射線治療システム事業部 事業部長 兼 粒子線治療システム本部 本部長)は言い切る。日立は粒子線治療装置の単年度受注ベースの実績で、ベルギーIon Beam Applications(IBA)社、米Varian Medical Systems社に続く世界第3位。三菱との事業統合を原動力に、首位の座を狙う。

日立製作所 ヘルスケアビジネスユニット 放射線治療システム事業部 事業部長 兼 粒子線治療システム本部 本部長の伊丹博幸氏
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 粒子線治療施設は、世界で約70施設が稼働中。今後も年10~20施設のペースで建設が進むと見込まれる。日本でも、2016年度の診療報酬改定で粒子線治療に初めて保険が適用された(関連記事2)。2018年度改定では前立腺がんや頭頸部がんにも適用が広がり、治療を受ける患者が大きく増えそうな状況だ。

 CAGR(年平均成長率)10%という高い成長が見込まれる粒子線治療装置市場をどのように攻めるのか。三菱との事業統合に期待するシナジーや技術開発の重点領域について、伊丹氏に聞いた。