田中耕一氏に聞く、アルツハイマー病変早期検出の意義(page 2)

ノーベル賞技術を活用、わずか0.5mLの血液から

2018/03/28 10:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

今回の成果の最大のインパクトは…

使用する質量分析計
クリックすると拡大した画像が開きます

 そして、今回の成果の最大のインパクトと言えるのが、アルツハイマー病の根本治療薬の開発につながる可能性があることだ。現在は根本治療薬は存在せず、治療には進行を遅らせるための薬が用いられている。これまでの根本治療薬の開発は、「既に発症している人を対象にしていたため失敗に終わっていた」と田中氏は話す。「アルツハイマー病は、残念ながらまだ治る病気とは言えない」(同氏)のが現状だ。

 今回の手法では、微量の血液から簡便にアミロイドβの蓄積を検出できるため、適切な被検者を対象にした治療薬開発が行える可能性があると田中氏は見る。実際、既に国内外を問わず、名だたる製薬企業から創薬に向けた受託分析の依頼が届いているという。「一刻も早く根本治療薬の開発に貢献したい」と同氏は意気込む。

 根本治療薬の開発と同時に、田中氏はアルツハイマー病の予防法についても検討していく考えだ。「認知症を発症する前のさまざまな段階にも介入策を講じたい」(同氏)。島津製作所が持つPET装置や近赤外線分光分析法(fNIRS)などもこうした予防法の開発に活用していくという。特にPET装置に関して同社は、「認知症診断への応用を念頭に事業を進めている」と説明している。

ピックアップPR

もっと見る

記事ランキング