ネット系技術者で電子技術を使ったメディアアート作品の製作も手掛ける、GMOインターネット 特命担当技術分析官の新里祐教氏が各社の「IoT開発キット」で"遊ぶ"本シリーズ。今回は米Silicon Laboratories社(以下、Silicon Labs社)のBluetoothモジュールと各種センサーを搭載した「Thuderboard React キット」を試用していく…と思いきや、入手したのは子供が大喜びするものが同梱された別バージョンだった。

 今回はSilicon Labs社のIoT開発キット「Thuderboard React キット」で遊んでみる。ところが、入手したキットを開けてみると、木のミニチュアカーを作るためのキットが同梱されていた。これは、「Thuderboard React キット」(29米ドル)に「Derby ミニチュア・カー」を同梱した「Thunderboard React Derby ミニチュア・カー・キット」(59米ドル)だったのだ(同社の「Thuderboard React 」紹介ページ)。

Silicon Labs社の「Thunderboard React Derby ミニチュア・カー・キット」
同キットの同梱物一覧。Thunderboard Reactの他に、ミニチュアカー用のキットが含まれている。ダービーカーは重力を動力とするミニチュアカー。傾斜があるコースを走らせて競走するダービーカーレースは、子供向けイベントとして米国各地で開催されているという
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 大抵のIoT開発キットではセンサーやプログラムを開発する端末だけが入っているが、今回のキットには評価ボード「Thunderboard React」の他にミニチュアカーを作るための木材、ネジ、くぎ、シャフト、タイヤ、シールが含まれている。

 これは今まで触ってきたIoT開発キットではなかった展開で非常に面白い。Thunderboard Reactをミニチュアカーに搭載して、タイヤの回転数、速度、移動距離を測定できるという仕組みだ。端末だけではなく、実際の"モノ=ミニチュアカー"もキットで提供されることで、簡単にITとモノの連携を試すことができる。

 このミニチュアカーを製作して遊んでみる前に、まずはThunderboard Reactを使ってみよう。

 Thunderboard Reactは面積が25mm×44mmと非常に小さい評価ボードだ。Silicon Labs社のBluetoothモジュール「BGM111 Blue Gecko」を搭載する(同社の「BGM111 Blue Gecko」紹介ページ)。マイコンは英Arm社のCPUコア「Cortex-M4」で動作周波数は38.4MHz、32KバイトのSRAMと256Kバイトのフラッシュ メモリーを実装するSoCだ。このBGM111はチップアンテナを実装するモジュールで、室内でテストをしてみたところ10m程度の距離で通信可能だった。

Thunderboard Reactの構成
主なセンサー類として、温湿度センサー、照度/UVセンサー、6軸(加速度/ジャイロ)センサーに加えて、ホールセンサーを搭載する。
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 センサーとして温湿度センサー(「Si7006/13/20/21/34」紹介ページ)、照度/UVセンサー(「Si1133」紹介ページ)、6軸センサー、ホールセンサーを搭載する。データは専用Android/iOSアプリを接続して、リアルタイムで見ることができる。

 ファームウエアの開発には、同社が別途提供する「Simplicity デバッグ・アダプタ基板」をボード上の「Mini Simplicity Connector」(10端子)に接続して、「Simplicity Studio」というEclipseベースの開発環境を使う。

 今回はファームウエアは開発しなかったため利用していないが、このSimplicity Studio上の開発環境にある「リアルタイム・エネルギー・プロファイラ」という機能がとても面白い。同機能は、SoCが実際に消費している電力を可視化できるというもの。しかも、実装したソースコードの関数毎に消費電力をグラフ表示できるという強力なツールだ。端末の消費電力をリアルタイムに測定・可視化できる。一般に、ソースコードの負荷が高い場所を特定するのは非常に難しい作業だ。それが、Silicon Labs社の開発環境を利用することで、問題のある部分を容易に特定できるようになる。IoT環境で求められる超低消費電力端末を実現する大きな手助けになるだろう。

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