本連載のテーマである「ヒアラブル」は、単に音を聞くだけでないインテリジェントな機能を備えるイヤホンを意味する言葉だ。「音を聞く」以外の機能を備えたヒアラブルを探ることで、新たなウエアラブル機器の一つのジャンルとしての高機能イヤホンを捉え直す狙いがある。

 ヒアラブルが追加する機能の候補の一つにセンシングがある。特に人の生命活動状況を示す4つの情報、心拍数・呼吸(数)・血圧・体温を検知する「バイタルサインセンシング」は医療分野におけるヒアラブルの応用範囲として期待される分野だ。

 医療機器の製造・開発に関する展示会「MEDTEC Japan 2017」(2017年4月19~21日、東京ビッグサイト)では、バイタルサインセンサーの装着場所として耳に注目している展示がいくつか見られた。例えば京セラはレーザー血流量センサーを組み込んだイヤホンを試作、参考出展している。同展示会の展示から、将来的にヒアラブルに組み込まれる可能性のあるバイタルサインセンサーを見ていこう。

毛細血管が集まるからセンサー設置に最適

アルプス電気の近赤外分光センサーについてのパネル。応用イメージとして、左下にはイヤホン型端末のイラストが描かれている。
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 アルプス電気は、近赤外分光センサーの装着場所として胸部、腕、指に加えて耳を提案した展示を見せていた。近赤外分光センサーは酸素飽和度や脈拍、貧血度などの指標となる「ヘモグロビン度」などの計測が可能なセンサーで、同社は以前からウエアラブル機器向けに提案している。

 現在は、医療系計測器メーカーやヘルスケア分野の企業と協業し、実証実験を実施する段階まで開発が進んでいる。同センサーでバイタルデータを常時記録する目的として治療や対策の効果の確認がある。例えば薬の飲み過ぎ・飲み忘れを防いで適切な量の摂取を実現できるという。

 近赤外分光センサーはLEDで光を照射し、反射光を使って血液中のヘモグロビン量を測定する。「体の表面に毛細血管が集中している場所なら測定できる。毛細血管の集まる耳は測定しやすい場所」(アルプス電気 説明員)という。

 課題としては「耳に密着させるための形状」(同説明員)を挙げる。同センサーは2個のLEDを皮膚などに密着させ、光がもれないように計測する必要があるからだ。胸部や腕など比較的大きな平面なら、平面的なデバイス形状のままで対応できる。だが、耳の形状は複雑なので、センサーを小型化しつつ、曲面形状を実現する必要がある。

アルプス電気が展示していた、近赤外分光センサーのスマートフォン用モジュール。Lightningコネクターに挿したモジュール上に指を押し当てて測定する。
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アルプス電気の近赤外分光センサーの説明パネル。センサーの外形寸法は12mm×18mm×5mm。
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