2m以上前方の視界内に表示

 HUDはメーター裏側の限られたスペースに設置されており、表示器で作られる情報をウインドーシールド(WS)に反射させて運転者に提供する(図1)。HUDの内部は表示器や光源、光を折り曲げる反射鏡、表示を拡大する拡大鏡で構成されている。

図1 HUDの原理
HUDはメーター裏側のスペースに設置されており、表示器で作られる情報をウインドーシールド(WS)に反射させて運転者に提供する。
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 表示する情報を拡大鏡で大きくすることで、運転者から2m以上前方の視界内に、情報を表示できる(図2)。自動車メーカーやHUDメーカーにとっては、搭載スペースが大きな課題となる。拡大鏡の倍率を上げるほどこの搭載スペースが小さくなり、搭載に対しては有利になると考えられる。

図2 HUDの表示例
拡大鏡で表示情報を大きくすることで、運転者から2m以上前方の視界内に情報を表示する。
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 しかし、太陽光の入射による表示器への熱ダメージや、表示拡大による歪み(ゆがみ)など、相反する問題が発生する。このため、拡大鏡の倍率を抑制する必要がある。HUD用のWSには、2重像の発生を抑える「楔(くさび)型」と呼ぶ特殊な製品を使う必要がある。

 HUDの特徴は大きく分けて二つある。一つめは、運転者前方の視界内に情報を表示することから、視線を移動する時間を短くできることである。一般走行・高速走行・市街地走行時にアイマークレコーダーで記録した運転者の視線と、その移動時間を見てみる(図3)。

図3 運転者の視線と視線の移動時間
HUDの情報は、運転者の視線移動時間が短い注視点付近に表示する。
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 これによるとHUDの表示は、注視点と呼ばれる視線の集まる位置よりも近い位置に表示される。この位置は、日本自動車工業会(JAMA)が定めた現在の規定「ヘッドアップディスプレイの取扱い(Version2.0)」(07年自事発第304号)の「Aゾーン」にかからない位置になる。そのため、運転者は視線移動の負荷を軽減できる。