電力市場価格の変動に、大手電力の営業攻勢。新電力事業は難しさを増しているように見える。だが、変化の大きな時代だからこそ、過去にとらわれずにマーケットに向き合うことで思わぬ勝機が見えてくるものだ。「今から新規参入しても勝つ方法はある」という新電力支援サービスを手がけるビジネスデザイン研究所の久保欣也氏に、変化の時代を勝ち抜く方策を解説してもらった。

 電気事業の歴史は長い。そして、大手電力9社による地域独占体制から60年以上が経った今、かつてないスピードで変化している。これまでの「常識は非常識」に、「非常識が常識」に変わりつつある。

 マクロの視点を持って戦略的にビジネスを展開すれば、大手電力が独占するマーケットでも、今から新規参入したとしても勝つ方法はある。だが、変化が大きな時代だからこそ、少し前までのビジネスルールにとらわれた途端、足元をすくわれかねない。

 東日本大震災直前まで、日本の政治家や官僚、有識者、大手電力の従業員の全員が、家庭部門が自由化されるなんて、建前では議論していても、真剣には想像すらしなかっただろう。震災前の政権交代がなければ、電力全面自由化を迎えることはなかった。

 電気事業のような規制事業は、制度が変わればビジネスが変わる。だからこそ、何が起きるか分からないビジネスだ。米トランプ大統領が言うところの「革命」のようなことが、すぐに起きるのが規制領域なのだ。

大規模集中型の電力システムは一時の現象

 電気事業の長い歴史を紐解くと、実は大きな変化点を何度も越えて現在の形にたどり着いていることが分かる。大規模集中型の電力システムは、ごく最近の一時代だけ。あとはずっと分散型の時代が続いてきた。

 この100年ほどを振り返っても、当初は公営水力と地域の石炭火力発電所しかなく、地域の送配電会社によるマイクログリッドで運用していた時代が続いた。これが、効率化の流れの中で大規模集中型へとシフトし、大手電力9社体制に集約された。

 そして今、世界は急速に「小規模分散」の電力システムに向かっている。理由は大きく3つある。

 まず、米国、日本などの先進国を中心に電力需要の頭打ちにより発電設備が余剰になってきたことがある。第2の理由が、太陽光発電などの価格低下により、分散電源が凄まじいペースで普及し、局地的かつ双方向での需給管理が必要になったことだ。そして第3の理由が、ドイツのシュタットベルケのような地産地消のビジネスモデルや、ブロックチェーンなどの技術の進化が起きたことである。

 いまはまだマクロトレンドかもしれないが、日本の電力システムも例外なく変化していくはずである。新しいゲームが始まっているのだ。

 今こそ、変化を捉え、柔軟に戦略変更する力が問われている。燃料費を例に考えてみよう。

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