ESG投資の広がりとともに再エネ電力へのニーズが高まっているが、企業からは「再エネ電力が足りない」「FIT電気はわかりにくい」といった声が聞こえてくる。こうした企業ニーズとFIT脱却を目指す政府、双方のニーズを満たす手法が海外には存在する。みんな電力の三宅成也・専務取締役事業本部長に解説してもらった。

 固定価格買取制度(FIT)の抜本見直しが迫ってきた。政府は2020年度末までに、再生可能エネルギーをFIT制度から脱却させ、再エネが自立する制度や仕組みを確立すべく、待ったなしの政策議論を行っている。

オランダ・アムステルダムで開かれた国際会議「REC Market Meeting 2019」
RE100のテクニカルアドバイザーを務めるRECS InternationalのJared Braslawsky氏も登壇した

 経済産業省が4月22日に開催した「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」では、主力電源化に向けた「競争力のある電源への成長モデル」が提示された。だが、再エネ発電事業者と小売電気事業者が卸電力市場や相対契約で再エネ電気を取引すると記すにとどまり、具体的な絵姿は見えてこない。

 他方、SDGsに基づく企業活動やESG投資活発化の機運を背景に、企業による再エネ活用への関心はこれまでになく高まっている。事業運営に必要な電力を100%再エネ電力にすることを目指す国際イニシアチブ「RE100」に加盟する企業も、増加の一途をたどっている。2年前の2017年はリコー1社だけだったのが、2019年5月時点では17社にまで増えた。2019年はさらに複数の国内大手企業の加盟が予定されていると聞く。

 ところが、企業の再エネ電力への切り替えは、思うように進んでいないのが現実だ。日本には低コストの再エネ電力が少なく、再エネ導入を担当するCSR部門は社内のコスト管理部門と折り合えないケースが多い。再エネ電力は「高嶺の花」なのである。

 実は、再エネ導入で先をゆく欧州では、FIT卒業後の再エネ電気の取引方法として「コーポレートPPA」と呼ばれる取引方法が定着しつつある。企業が発電事業者と直接契約して再エネ電力を調達する手法で、FITなどの補助制度には頼らない。

 筆者は今年3月、オランダ・アムステルダムで開かれた国際会議「REC Market Meeting 2019」に参加した。再エネ発電会社や再エネ証書発行事業者、需要家など170社が集まり、REC(再エネ証書)の活用や再エネ利用に関して、3日間にわたり多数のセッションが行われた。ここで最も活発に議論がなされていたテーマが「コーポレートPPA」であった。

 登壇していたRE100企業の1社が、オランダのヘルスケア大手、フィリップスだ。同社は、2015年から米国にてコーポレートPPAによる再エネ電力の調達を開始。2019年からは欧州でもコーポレートPPAを開始する予定だという。

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