2018年7月に政府が発表した「第5次エネルギー基本計画」は再生可能エネルギーの主力電源化を打ち出した。だが、再エネが主力電源たりえる存在になるには、様々な課題を解決する必要がある。そして需要家には「FITが法の趣旨に沿った運用にはなっておらず国民負担ばかりが膨らんでいる」という危機意識がある。実際、素材系メーカーなど電力多消費産業の中には、年間の賦課金が100億円を超えるところもあるという。
 FIT導入からの7年を、需要家を代表して日本製鉄のシンクタンクである日鉄総研取締役であり日本経済団体連合会資源・エネルギー対策委員会企画部会長代行を務める小野透氏に振り返ってもらった。小野氏は、経済産業省で再エネ政策を議論する「総合資源エネルギー調査会再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」の委員も務めている。

 固定価格買取制度(FIT)導入から、まもなく7年が経過しようとしている。この間の再生可能エネルギー、特に太陽光の導入は、大方の予想を超えたスピードで展開した。

 経済産業省によると、2018年9月末時点でFITによる設備導入量は4429万kW、件数では178万件にのぼり、一般家庭を含む非常に多くの個人や企業がFITによる電気の供給者になったことが分かる(表1)。設備認定量は8937万kWにまで膨れ上がり、今後もFIT電源の導入は着実に進んでいくだろう。

 制度導入からわずか7年間で、再エネは設備容量では押しも押されもせぬ我が国の「主力電源」に上り詰めた。だが、FIT導入当初から懸念されていたコストの課題や、多くのステークホルダー参入に伴う事業規律上の課題、さらに欧州で先行した系統制約や調整電源の課題など、再エネが真の「主力電源」となるために克服すべき多くの課題が顕在化してきた。

表1●再エネは設備容量だけ見れば「主力電源」になってきた
2018年9月末時点のFITの進捗状況(出所:資源エネルギー庁)

 従来、再エネは高い電源と言われてきた。しかし最近では、「再エネは安くなった」「グリッドパリティーに到達した」「限界コストはゼロだ」など、安さを指摘する声をよく耳にする。

 確かに太陽光発電のコストは世界的に急激に低下しており、日本も例外ではない。海外との価格差は未だに相当あるものの、日本の事業用太陽光発電の買取価格の低下を見れば明らかだ(図1)。主な理由は、太陽光パネルの市場拡大に伴う経験曲線効果と、特に安価な中国製パネルのシェア拡大だ。この恩恵は、発電設備を導入する側は大いに感じているはずである。

 一方、電気料金を払う側にしてみれば、太陽光発電の価格低下による恩恵は微塵も感じられない。FIT賦課金は年々上昇し、2019年度にはとうとう2.95円/kWhになってしまった(図2)。素材系メーカーなど電力多消費産業では、既に年間の賦課金が100億円をゆうに超えているところもある。

図1●海外との価格差はあるが、日本の太陽光のコストは確実に低下している
太陽光発電のコスト推移(出所:資源エネルギー庁の資料を基に著者作成)

図2●賦課金は年々上昇し2019年度は2.95円/kWhに到達
FIT買取費用総額・賦課金等の推移(出所:資源エネルギー庁の資料を基に著者作成)

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