洋上風力発電を促進する新しい法律、いわゆる「再エネ海域利用法」が4月1日に施行日を迎えます。再エネ海域利用法を巡っては2018年末から国土交通省と経済産業省が合同会議を開催。具体的な運用を検討している真っ最中です。新たなフェーズを迎えた洋上風力発電事業について、合同会議の議論から見えてきた新制度の具体像を西村あさひ法律事務所川本周弁護士に解説していただきます。

【質問1】昨年成立した洋上風力発電促進の新法とは、以前この連載記事で取り扱った法律案と同じものですか(「洋上風力の新法案、事業者と価格の決定方法は?」)。

【回答1】 以前に解説した法案は、国会閉会よる時間切れで一旦は廃案となりました。その後改めて、ほぼ同じ内容の法律案が閣議決定され、国会審議を経て成立しました。内容は以前の解説と基本的に変わっていません。

 法律の名称は当初の法案と同じ「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」です。政府は「再エネ海域利用法」という略称で呼んでいます。

 再エネ海域利用法は、一般海域に洋上風力発電設備を設置するための「海域の占用」について法的根拠を明確にしました。また、一般海域を占用して洋上風力発電事業を実施する事業者を選定するためのプロセスを、固定価格買取制度(FIT)と連携する形で定めました。協議会という形で漁業関係者など利害関係者との調整を図る枠組みも用意しています。

 事業者の選定は、(1)国による促進区域の指定、(2)国による公募占用指針の策定、(3)事業者による公募占用計画の提出、(4)国による公募占用計画の審査・評価、というプロセスを経て決定します。詳しくは昨年の解説記事をご覧下さい(選定プロセスはこちら)。

【質問2】事業者選定手続は国による促進区域の指定からスタートするのですね。法律では促進区域を指定する際の基準が定められていますが、法律を読んでも 分からないことがあります。例えば、促進区域というのはどの程度の規模で指定されるのでしょうか。

【回答2】促進区域の規模は、法律上の促進区域指定の基準のうち「海洋再生エネルギー発電設備を設置すればその出力の量が相当程度に達すると見込まれること」という部分が関係します。

 FIT制度が国民負担によって支えられている枠組みである以上、より低額のFIT価格で事業採算性を確保することが求められます。ですから促進区域は効率的な事業の実施が可能となる規模で指定される見通しです。

 合同会議の資料は「地域ごとに事情が異なるため一律の基準を決めることは困難」としています。ただし合同会議では、欧州主要国で設置または入札に参加した洋上風力発電1区域当たりの平均出力は約350MWであること、陸上風力発電のコストデータの分析によれば30MWを超えるとより低い資本費で事業が実施できているという指摘もありました。

 既に港湾区域では商業ベースの洋上風力発電プロジェクトが数件進みつつありますが、いずれも200MW前後の規模であり、これも参考になるでしょう。

 1つの促進区域で選定されるのは1事業者のみです。事業者はかなりの規模のプロジェクトを開発することになりますので、建設工事や設備の調達のほか、資金調達も含めての事業遂行能力を求められます。

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