資源エネルギー庁は突如、バイオマス発電に入札制度を導入する方針を打ち出しました。2017年11月28日の調達価格等算定委員会でのことです。昨年4月の改正FIT法施行により、バイオマス発電を含むリードタイムの長い電源については、今後3年間のFIT価格を定めたばかり。わずか半年余りでの急激な制度変更は各所に衝撃を与えています。制度変更の内容とバイオマス発電事業への影響を、西村あさひ法律事務所・川本周弁護士に解説していただきます。

【質問1】バイオマス発電に入札制度が導入されるというのは、決定事項なのですか。

【回答1】現時点(2018年1月末日)で正式に決まったものではありません。ですが、固定価格買取制度(FIT)の買取価格などを審議する資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会では、「一般木材等バイオマス」について、2018年度から入札制度の対象とし、事業用太陽光発電と同様に入札によってFIT価格を決める方向に向かっています。

 もう少し説明すると、既にFIT認定を受けている案件は、稼働・未稼働にかかわらず、入札の対象にはなりません。また、2017年度中(2018年3月31日)までにFIT認定を受けた案件も入札の対象外となります。既に申請中であっても、2017年中に認定を受けていない案件の場合は、FIT価格の入札にて落札する必要があります。

 2017年12月の第34回調達価格等算定委員会における資料によると、パーム油といったバイオマス油脂を燃料とする案件については、規模にかかわらず全て入札制度の対象となります。また、バイオマス油脂以外の一般木材等バイオマスについては、1万kW以上の案件が入札制度の対象になる見通しです。

 この規模要件からすると、最近よく見られる木質チップやPKS(パーム椰子殻)を海外から調達する案件については、そのほとんどが入札の対象となりそうです。

【質問2】バイオマス発電は地元調整などに時間のかかる、リードタイムの長い発電設備です。地元調整中にFIT価格が変わると途中で事業を断念せざるを得ないことがあるため、わざわざ改正FIT法で今後3年間のFIT価格をあらかじめ決めておくとしたはず。それなのに、2018年4月に入札制度を導入するというは、いくらなんでも唐突すぎませんか。

【回答2】FIT制度の行方を読み解くうえで、「国民負担」というキーワードの重みが増しています。その点でも、バイオマス発電のFIT制度の設計や運用に新たな変更があることは、一定程度、予想されていたことです。

 特に、一般木材を燃料につかうバイオマス発電は、2016年度末にFIT認定のかなりの駆け込み申請がありました(「バイオマスの過剰認定は太陽光に次ぐバブル?」)。申請中のバイオマス発電がすべて運転開始に至ると、賦課金の水準が政府の想定を大きく超える事態となってしまいます。

 政府は、過度な国民負担の増加は許容できないというスタンスに立っています。その点からも、バイオマス発電のFIT見直しは想定されていたことと言えるでしょう。

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