ときに異様な高騰を見せる卸電力市場。価格形成が依然不安定だ。国民生活や産業を支える基本財といえる電力の場合、本来の需給や経済環境に応じて、市場においても常に「適正価格」が提示されることが望まれる。「電力の番人」の存在が不可欠だ。

 2017年の日本卸電力取引所(JEPX)は波乱の連続だった。

 旧一般電気事業者自身が宣言した「自主的取組」がいつのまにか不全を起こし、スポット市場への売り玉不足から市場価格はしばしば高騰した。その背景としての「予備力の過剰確保」や、帰結としての「当日の電力余剰」などの問題も表面化した。

 自由化の進展にはスポット市場の確かな市場運営が望まれる。現実には理想とはほど遠い価格形成が続いている。

 改めてこの冬の市場動向を見ておきたい。

 昨年10月には売り入札量の増加が見られ、市場の売り玉不足はいったん解消に向かったかに思われた。

 背景には、中部電力と関西電力の過剰な予備力の抱え込みの実態解明を機に、電力・ガス取引監視等委員会による市場への予備力投入ルールの厳格化があった。10月は約定量も増え、スポット価格も落ち着きを取り戻した。

11月に「売り」と「約定」は縮小反転
卸電力市場の売り入札量(左)と約定量(右)の推移(2017年と16年の比較)

 しかし、11月から様相が一変した。スポット市場は売り入札量と約定量が減少に転じた。一方で、買い入札量は増加基調を続けたため、一度は落ち着いたスポット価格は11月から再び狂い始めた(「西日本の異常な電力市場価格に大手電力の影」参照)。

 こうした卸電力市場の価格推移を見て、読者の皆さんはどう感じられるだろうか。

 背景が分からない相場の変動にこれだけ振り回されれば、真面目に取り組む事業者ほど大きなリスクや理不尽さを感じるに違いない。

 それゆえ、より透明感のある情報公開や厳格な監督行政が求められる。

 以前もこのコラムで述べたが、市場価格は参加者に対して貴重なシグナルを発する。ただし、それは健全な競争と環境があって初めて機能する(「壊れた“電力価格”は経営を狂わせる」参照)。理想的なシグナル機能は、短期でも中長期でも、あるべき電力価格を安定的に市場が指し示すことだ。

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