「決着しないと年が越せないと思っていましたが、ホッとしました」。あるバイオマス発電事業者幹部は安堵の声を漏らす。年末を迎えるまでの約2カ月、不安にさいなまれたバイオマス発電事業者は少なくなかっただろう。

 事の発端は、資源エネルギー庁が10月15日に開催した「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」。エネ庁が突如、バイオマス発電に関する固定価格買取制度(FIT)の見直し案を公表した。しかも、委員会の場での議論はそこそこに、1週間後の10月22日には見直し案をパブリックコメントにかけたのだ。

 この委員会は、かねて太陽光発電のFIT制度見直しなどを議論していたため、太陽光発電関係者は必ずといって良いほど動向をチェックしている。だが、これまでバイオマス発電に関する制度改正議論が行われることはほとんどなく、「全くノーマークだった」と口にするバイオマス発電事業者は少なくない。

 エネ庁による改正案の提示はバイオマス業界にとっては寝耳に水。「業界団体を通じた事前のヒアリングなどは一切なかった」(再エネ発電事業者幹部)という。小規模な事業者の中には、「パブリックコメントが始まって初めて気がついた」という事業者も珍しくない。

 提案された改正案は、バイオマス発電の運転時に、使用するバイオマス燃料の種類ごとの割合(バイオマス比率)の変更に制限を設けるもので、事業運営上、影響が非常に大きなものだった。

 あるバイオマス発電事業者は、「改正案通りに運用するとFIT期間の20年で80億円の売上を失う。既に契約済みのローンの契約条件から外れるため、事業を断念せざるを得ない」と悲痛の声を漏らした。

 パブリックコメント期間中に日本木質バイオマスエネルギー協会がエネ庁の担当官を招いて会員企業向けに開催した説明会は紛糾した。「発電所の現場を理解していない」「バイオマス石炭混焼を意識した改正案であり、専焼のことを分かっていない」といった意見が数々出てきたという。

 10月15日の大量導入小委員会では、太陽光発電の長期未稼働案件に対する改正案も提示された(「長期未稼働案件の買取価格減額、対応は待ったなし」)。この改正案に太陽光発電業界は騒然。太陽光パネルメーカーなどが中心に活動する太陽光発電協会(JPEA)や大手再エネ発電事業者、さらには金融業界まで巻き込んだ大問題となった。

 関係者の働きかけによって、11月14日には「自由民主党再生可能エネルギー普及拡大議員連盟」(再エネ議連)が動き出す。そこからの展開は早かった。

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