新電力の会員組織である「日経エネルギーNext ビジネス会議」の呼びかけで、九州を営業エリアとする新電力39社が今後の九州市場について議論した。再生可能エネルギーの普及が全国でもっとも進んでいる九州。再エネに商機を見いだす新電力が多い。

 「スイッチングの際、大手電力による『取り戻し営業』に遭ったことは?」との問いに、「ある」という回答数が59%、「ない」が25%、「分からない」が16%だった。

 福岡市で12月10日に開いた日経エネルギーNextビジネス会議九州分科会には、39社から59人が集まった。スマホで投票できるアンケートツールを使い、集まった参加者にその場で回答してもらった結果だ。

 取り戻し営業は、需要家が新電力にスイッチングの意思を示してからスイッチングが完了するまでの2カ月の間に、大手電力が安値を提示してスイッチングを阻止することを指す。送配電部門に通知されるスイッチング情報が小売部門に流れている可能性などが指摘され、現在、電力・ガス取引監視等委員会が規制する方向でルールの検討が進んでいる。

 取り戻し営業は大手電力からの需要家の離脱率が大きい関西エリアなどで特に大きな問題になった。アンケートの結果は、九州エリアでも九州電力による“取り戻し”が相当程度あったことを物語る。

 今回の九州分科会は、定期的に東京で開催している新電力による会合の九州版を、九州を営業エリアとする事業者に呼びかけて実施した。

 この日の議論は今後の九州市場をどう展望するかを中心に展開した。

 「(九州市場も)今後はガスとのバンドルがポイントになるのではないか」。全国展開している通信系新電力幹部から問いかけがなされた。

 これに対して他の参加者からは、「顧客目線で考えるとワンストップのエネルギーサービスが求められる可能性は大いにある。将来は(ガスも)必要だろう」(関西系新電力幹部)、「商材の1つとしてそろえておきたい。地域のガス会社と組むことを考えたい」(南九州エリアに本社を置く新電力幹部)といった声が上がった。

都市ガスのセット販売は九電が先行

 ライバルである九電は、「きゅうでんガス」の販売を福岡エリアと北九州エリアで始めている。自社で調達したLNG(液化天然ガス)を原料とし、北部九州で展開する都市ガス大手である西部ガスの導管を利用する。都市ガス全面自由化1年目の2018年3月までに5万5000件の顧客を獲得した。

 会場アンケートでは、「ガスも併売したい」が9%、「検討中」が27%だったのに対して、「売るつもりはない」が50%に及んだ。新電力のスタンスは大きく割れた。

 九電など電力とガスをセット販売している事業者との競合を意識しなければならない新電力が相当数存在する一方で、九州全体を考えれば関東や関西ほど導管が整備されていないという地域性もアンケート結果には影響しているだろう。

 導管が整備されたエリアでも、都市ガスは卸市場が未整備で、小売りに保安義務が課せられるなど参入は容易でない。多くの場合、ガス原料や保安ノウハウを持つ事業者との連携が鍵を握る。

 エネルギー系新電力幹部からは「オール電化など別の手段を提案できれば、ガスが必須ということはない」といった意見も出た。セット販売を始めるかどうか。販売エリアの事情を踏まえた事業者ごとの戦略が問われるところだ。

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