「(大手電力の)廉売に対してどう対処していくのか。新電力は本当に苦しんでいる。スピード感が欲しい」

日経エネルギーNext ビジネス会議。新電力61社が公正な競争を議論した

 日経BP総研は11月1日、新電力61社が集まる会員組織「日経エネルギーNext ビジネス会議」を開催した。その会合の場で大手新電力幹部が、講師として招かれていた電力・ガス取引監視等委員会の木尾修文取引制度企画室長に質した。

 到底対抗できない安値で特高や高圧の顧客を新電力から奪還する大手電力の攻勢で、新電力は大きな痛手を受け続けている。

 こうした現状を踏まえ、木尾室長は「電源アクセスに関するイコールフッティングが実現するまで、新電力が現実的に買えない価格で(大手電力小売部門が電源を)買うことを規制することなどが考えられる。遠くない時期に実効性のある形で実現したい」と応じた。

 この日の会議は、監視委員会が8月に報告書をまとめた「競争的な電力・ガス市場研究会」(競争研)の中間論点整理に焦点を当てて議論を行った。競争研は大手電力や大手都市ガス事業者について、市場支配力の行使に加え、電源や顧客の囲い込み(市場閉鎖)、内部補助による競争の歪み、寡占的協調といった3つの懸念が理論的に存在しうるなど、自由化初期の課題に踏み込んだ分析を行った(「卸供給に小売部門が関与するのはおかしい」参照)。当日集まった新電力幹部の間からも、「画期的な取り組み」との評価の声が聞かれた。

 競争研自体は「理論的な研究」との位置づけだが、すでに足元で具体的な制度や政策にいかに落とし込むかが問われ始めている。大手新電力幹部が指摘した大手電力の廉売に対しては「市場閉鎖」や「内部補助」の可能性がある。木尾室長の発言は、競争研の成果の具体化という点からも注目される。

 監視委員会は市場での入札行為を唯一、詳細に知り得る立場にある。会議参加者との間で卸電力市場を巡る問題も活発に議論された。

 「夏場、卸電力市場は西日本で100円の高値がつくほど暴騰した。一方、でんき予報では供給力は10%ほど余裕があった。玉(電力)の出し手である旧一般電気事業者に問題があったのではないか」。別の新電力幹部が詰め寄った。今年最大の問題は、やはり夏場の異常な高騰だ。

 今夏、卸電力市場はこれまでになく荒れた。西日本エリアで7月25日、100.02円/kWhという史上最高値を記録したのはその象徴だ。

猛暑だけでは説明できない

 監視委員会は9月20日の有識者会議(第33回制度設計専門会合)で、「今夏の市場価格高騰について」という報告を行っている。市場高騰の第1の要因に挙げたのは猛暑だ。とりわけ関西エリアの電力需要は7月18日から26日まで1週間連続で「猛暑H1需要」(10年に1回程度の猛暑を想定した最大電力需要の想定値)を上回るほどだった。

 もう1つ挙げたのが、電源の計画外停止(故障など)だ。関西エリアでは関西電力姫路第二発電所5号機(48万1000kW)が7月22日に、同赤穂発電所2号機(60万kW)が23日に停止。合わせて100万kW以上が突発的に停止したことが、25日に一時100円を超えるなど市場高騰に拍車をかけた。

 これらが主要因であったというのが監視委員会の公式見解だ。はたして、夏場の高騰ぶりは猛暑による電力需要の増加や突発的な計画外停止だけでは説明がつくのか。モヤモヤ感を抱いている新電力は今も少なくない。

 会議の場で木尾室長は、もう1つの大きな要因を明かした。大手電力の「燃料制約」である。

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