電気事業に詳しいある弁護士は、この項目は独禁法が禁じる「差別対価」に当たるおそれがあると指摘する。「局所的に関電と新電力が価格競争をするのであれば問題ない。だが、今回の重要事項変更通知という形で、この項目はルール化された。関電が対抗措置を取れば、新電力の失注につながる」。

重要事項説明に「独禁法上、OK?」の声が
関電が高圧需要家向けに送付したレターの一部

 会合に参加した小売電気事業者の多くは、「8月1日の値下げ後の契約が対象なので、まだ直接的な影響は出ていない」という。ただ、「今後は契約の切り替えが難しくなるだろう」という不安の声が聞かれた。

 さらに、日経エネルギーNextのその後の取材で、本件に関して公正取引委員会に申し立てを行った事業者がいることが分かった。

 関電に、この重要事項は独禁法に抵触するのではないかと問い合わせたところ、「独禁法には抵触しない」との回答を得た。

 「お客様から電気の供給先を新電力などに切り替えることを要望された際に、お客様に対して新電力から提案されている料金水準を無理に聞き出すような行為はしておらず、あくまで当社と引き続きご契約いただく場合に希望される料金水準をお聞きしている。お客様に対して無理な引き止めを行ったり、特定の新電力を狙った対抗措置などはしておらず、独占禁止法には抵触していないと認識している」(関電)。

特定の新電力を狙い打ちしている?

 今回の関電のケースに限らず、公取委や電力・ガス取引監視等委員会に大手電力の値引きの実態を訴える新電力は少なくない。

 ある大手新電力幹部は会合で、「監視委員会から『独禁法違反と認定するのは難しいが、複数の事業者から同じような話を聞いており、問題とは認識している。早く対応したい』と言われた」と話した。一方で、「この問題は監視委員会ではなく、公取委にいってくれと言われた」という新電力もいる。

 新電力各社の意見を総合すると、監視委員会などが「独禁法違反とは認定しにくい」とする理由は、主に2点ありそうだ。1つは、大手電力の販売している電気料金が不当廉売であると確認するのは難しいこと。そしてもう1つが、「大手電力から大幅値引きを受けた需要家は恩恵を受けている」という事実だ。