電力・ガス取引監視等委員会は、大手電力に対して、「燃料制約」の運用の合理化を求めていく。10月23日の有識者会議(第34回制度設計専門会合)で、監視の視点としてその概要を明らかにした。

 全面自由化以降、卸電力市場は需給がひっ迫する夏場と冬場、決まって荒れた。とりわけ、昨冬と今夏は異常な高値が頻出した。

 昨冬の電力市場価格は、11月半ばから西日本エリアで高騰する時間帯が頻繁に出現。西日本エリアの2017年12月の平均価格は13円/kWhと前年同期より4.1円/kWh高く、同じ時期の東日本エリア(北海道を除く)より2.7円/kWh高かった。

 そうかと思えば、年が明けた2018年1月後半からは東日本で西日本を上回る高値が目立つようになる。2月9日には東京エリアプライスは57.98円/kWhという史上2番目(当時)の高値をつけた(「電力市場が史上2番目の高値、意外な2つの理由」参照)。

 そして決定的だったのが今夏、7月25日に西日本エリアでつけた史上最高値「100円」に代表される猛烈な高騰ぶりだ(「電力市場価格が史上最高値100円」参照)。

 いずれも、記録的な寒波や猛暑、原油価格の上昇だけでは説明しきれない値動きだった。市場からの電力調達に頼る多くの新電力が大きなダメージを被った。

 監視委員会幹部は、日経エネルギーNextの取材に対し、「昨冬や今夏、需要のピーク時間帯で発生した高騰に最も効いていたのが大手電力による燃料制約だった」と明かした。そして今回、燃料制約に対する監視の視点が整理されたことで、「今後の高騰抑止に一定の効果があるはず」との見通しも明らかにした。

 燃料制約とは、大手電力が余剰供給力を市場に投入する「自主的取組」の実施に当たって、市場投入量を減らす要因となる「入札制約」の1つ。簡単に言えば、先々の燃料不足を懸念して、自社需要分の電力だけを発電し、市場投入用の発電はしないことをいう。

 大手電力から新電力へ需要(顧客)が離脱し、自社需要は減ったとしても各エリアの電力需要の総量は大きく変わってはいない。それにもかかわらず、燃料不足を理由に発電量を減らせば、当然需給はタイトになる。

見えなかった監視の切り口

 監視委員会は2018年1月30日の有識者会合(第26回制度設計専門会合)の場で、昨冬の西日本における市場価格高騰の背景として、「石油やLNGの燃料不足によりスポット市場での売り入札量の減少が発生した」と報告した。

 このとき配布した「燃料制約の状況」と題したペーパーには、寒さなどから電力需要が計画より増える中、「燃料の追加調達については数カ月から半年程度のリードタイムが必要」「天候不良により入船が計画通りにできなかった」など、大手電力から聞き取った、各社が燃料制約を実施した理由が書き並べられていた。監視委員会が示した今後の対応は「燃料制約の在り方について整理・検証を行う」と記すにとどまった。

 監視委員会は、燃料制約の問題に事実上初めて対峙することになった昨冬の段階では、有効な監視や規制ができなかったのだ。

 今回、概要を公表した監視の視点は、これまでの燃料制約に対する研究の成果と言える。それは、大きく3点からなる。(1)卸電力市場への想定供出量の考え方、(2)燃料不足の判断方法、(3)売り入札の抑制方法――である。

 (1)は簡単に言えば、自社需要分だけを考えた燃料調達ではなく、自主的取組で求められている余剰電力も可能な限り多く市場で売って、発電部門が最大限儲かる燃料調達を計画するよう求めるものだ。

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