電力全面自由化から丸2年、新電力はいつまでも小さな挑戦者ではない――。

 電力・ガス取引監視等委員会は8月2日、新電力大手F-Power(エフパワー、東京都港区)に中途解約に伴う違約金について、顧客への説明が不十分だったとして業務改善を勧告した。新電力への改善勧告は初めてのケースとなる。

 F-Powerは2017年11月、高圧および特別高圧の違約金に関して電力需給約款を変更した。同社は1年契約を基本としており、1年を超えると自動更新となる。従来は、1年未満での解約には違約金を設けていたが、契約期間が1年以上の場合は中途解約時の違約金を設けていなかった。そこで、1年以上の場合にも違約金を新たに設けた。

 全面自由化を経て、高圧部門の価格競争は熾烈を極め、レッドオーシャンとなっている。新電力同士の競争に加えて、大手電力の値引き攻勢も凄まじい。こうした状況の中、数カ月単位で電力の契約先を変える需要家が続出。短期間での中途解約を防ぐために違約金を設定したとみられる。

需要家に不利益な契約変更、わかりやすい説明必須

 F-Powerは約款変更に先立って、2017年10月、需要家に対して文書やメールで変更内容を通知。加えて、ホームページのニュースリリース欄に「2017.10.3 お知らせ 電力需給約款の改定」を掲載した。

 監視委員会が問題視したのは、このホームページでの記載方法だ。監視委員会取引監視課の鎌田明課長は、「変更点を示せば良いというものではない。需要家自らが変更点を理解し、判断できるかどうかが、改善勧告の根拠だ」と説明する。この点については、「電力の小売営業に関する指針」にも記載がある。

 具体的には、「約款を変更するが電気料金は変わらないと書いてあり、違約金についての条件変更だとすぐには分からない書き方だった。不利な契約変更ではないと判断して、その先を読まない人も多いだろう。需要家にとって不利益な契約変更であるため、需要家が変更内容を理解できるように説明する必要がある」(監視委員会取引監視課)

 約款の変更内容は、お知らせの中にリンクを張ったQ&Aページの最下部の「最新の約款について教えてもらえますか」という項目に書いていた。F-Powerは当初、旧約款と新約款、新約款での変更箇所を説明する3つの文書を掲載。これに対して監視委員会は、「変更箇所だけ見ても、何が変更になったのか分からない」と指摘する。

 鎌田課長は、「記者発表時に『F-Powerがわざと分かりにくい書き方をしたと考えているか』という質問を受けた。これに対しては、そう捉えられても仕方がない、と回答した」という。

 F-Powerの埼玉浩史・代表取締役会長兼社長は本誌の取材に対し、「監視委員会の改善勧告を真摯に受け止め、全面的に指導に従う。サプライサイドの論理が先行していたと反省している。自由化が進展する中で、いつまでも新規参入者という気持ちではいけない。社内研修などを通じて意識改革も進めていく」と話した。

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