「制裁を発動すべきだ!」

 実際に意図的と見られるインバランスがどれだけあり、どの事業者が行ったのかについて経産省は明らかにしていない。しかし、新規参入者だけでなく、同時同量に習熟しているはずの老舗新電力の関与も少なからず取りざたされている。

 一部の事業者からは「制度的な歪みがあって儲けられるなら、その歪みを突くのはある意味当たり前」との本音も聞こえてくる。「裁定取引が直ちに悪という決めつけはどうか。歪みの是正を促すシグナルでもある」といった声もある。

 だが、実態が報告された有識者会議では電気事業者の責任を問う識者のコメントが相次いだ。「(当局は)監視を強化すべき」「(行政処分などの)制裁の発動に踏み込むべき」「電力価格が高ければ買わないで済ます(不足インバランスを出す)というのでは、適正な価格を形成する卸電力市場の機能が損なわれる」――。

 インバランス料金制度を設計した経産省より新電力など小売電気事業者に対して厳しい目が向けられたのは、新規参入を含む新電力に配慮した制度設計が今回の問題を生んだ面が大きいからだ。

 1つはα値の決め方だ。スポット市場の入札曲線を全国のインバランス量に応じて引き直してインバランス料金を決めるという考え方は理にかなったものだが、それだけではインバランス料金が高騰する恐れがあった。そこで、α値の上限と下限を一定の範囲に押さえる目的で、これまでは買い入札量と売り入札量のそれぞれ上位と下位の20%ずつを除外して引き直していた。

 その結果、2016年度のエリア調整前のインバランス料金の最高値は21.82円/kWhで、最低値は3.86円/kWhだった。通常は先に触れたとおり、市場価格(10円/kWh前後)と大きな差はなく、最も大きく振れても上値は2倍程度で収まった。

 だが、仮に入札曲線の両端を全く除外していなかったとしたら、最高値は504.2円/kWh、最低値は0円/kWhになったと試算される。変動幅は大きく膨らみ、小売電気事業者や発電事業者が負うリスクは大きなものになっていた。