北陸では「不足」、関東は「余剰」で儲け

 α値は全国のインバランスの発生状況を踏まえた調整項で、具体的には日本卸電力取引所のスポット市場の価格を決める際の入札曲線を、インバランス発生量を加味して引き直して決める。全国のインバランスをゼロにするためには「事前のスポット市場でどういう取引が必要だったのか」から割り出すという考え方だ。

 β値は全国9エリアごとに異なる需給調整コストを反映させる調整項で、2016年度は前年度の実績をベースに、最もコストが安かった北陸エリアが「-3.90」、最も高かった東京エリアが「2.63」と決められた。β値はkWh当たりのインバランス料金に直接反映され、北陸エリアは全国平均より3.9円安く、東京エリアは2.63円高くなる。

 インバランス料金の決め方としては合理的なものだと言える。ところがフタを開けてみたら、α値は多くの時間帯で「1」近辺に張り付き、大きく変動はしなかった。

 つまり、インバランス料金の全国平均はほとんどのケースで市場価格と大きな違いが生じなかった。そこにエリアごとの調整項(β値)が乗ってくるとどうなるか。北陸エリアのインバランス料金はほぼ恒常的に市場価格よりも安く、東京エリアは高くなるということが事前に予想できる事態が生じていた。北海道、東北、中部、関西など他のエリアでも同様のことが起きた。

 計画値と比較して不足インバランスを出した事業者は不足分をインバランス料金で買い取り、余剰インバランスを出した事業者は余剰分をインバランス料金で売り渡さなければならない。

 だが、市場価格よりインバランス料金が安くなる確率が高いと想定される北陸エリアの場合、不足インバランスを出せばその分は高い確率で市場価格より安値で買えると想定できてしまう。東京エリアでは余剰インバランスを出せば市場価格より高値で買い取ってもらえる確率が高くなる。

 有識者会議では取引実態の一端が報告された。経産省が事業者ごとに提出された計画値と実績値を付き合わせたところ、北陸エリアでは実際には需要(顧客に売らなければならない電力)があるのに、何日にもわたってほとんどの時間帯で需要計画(=電力調達計画)がゼロになっていた小売電気事業者がいた。

 東京エリアでは何日もすべての時間帯で実際の需要を上回る需要計画を出していたケースがあった。ひどいものだと時間帯に応じて需要が変動していない直線的な需要計画の提出で済ませていた例もあった。こうなると需要計画に対する小売電気事業者の責任のかけらも見られない。

電気は常に需要と供給を一致させる制御(同時同量)が必要