「かなりいい線を突いているのではないか」

 5月20日に政府の規制改革推進会議が発表した「電力小売市場の活性化に向けた提言」を大手新電力幹部は評価する。

 2016年に安倍内閣の下、前身の会議体を改組した同会議は、安倍内閣が「一丁目一番地」に掲げる規制改革の司令塔の役割を果たしてきた。府省横断的にテーマを扱い、農業や医療などの分野で、ときには府省が踏み込みきれない改革を進言してきた。

 2020年の発送電分離を控え、電力分野は今回、「公正な競争状態にあるかを点検」(内閣府規制改革推進室)する観点から「働き方改革」などと並ぶ重点事項の指定を受け、議論されてきた。

 その結果をまとめた提言は大きく3つ。「大手電力による『内外無差別』の卸供給」「卸電力市場の透明性確保」「競争活性化に向けた一段の市場整備」だ。

電力小売り市場改革を深掘り
規制改革推進会議による3つの提言(出所:規制改革推進会議の資料を元に編集部が作成)

 それぞれは資源エネルギー庁や電力・ガス取引監視等委員会が検討中のテーマと重なる部分はあるが、踏み込みんだ指摘も少なくない。

 例えば、大手電力の発電・小売部門間の内部取引と、新電力など他社への卸供給で、価格などの取引条件をそろえる「内外無差別」。電源アクセスのイコールフッティングに必要な条件として、監視委員会が今後、その実現に向けてルール作りに乗り出すことになっている。

 提言は先手を取るかのように、その実現手段として「大手電力が行う卸供給は発電部門が担うことが望ましい旨を、ガイドラインその他の形で明確に示すこと」と具体的に求めた。

 さらに、自主的取組の一環で、大手電力が自社需要に必要な電力の一部をスポット市場にいったん売って買い戻す「グロスビディング」についても踏み込んだ。「発電部門と小売部門が分かれて売買入札を行うことが望ましい旨」を、やはりガイドラインなどで明示するべきと書き込んだのだ。

現行の停止発電所情報だけでは不十分

 こうした提言は毎年6月頭前後にまとめられる首相への答申に盛り込まれる。答申内容は閣議決定され、府省に改革推進の“圧力”をかけるという流れになる。

 先の提言の場合、「内外無差別」のルール作りを行う監視委員会に対して、この2つを盛り込むよう内閣が命じたのに近い。監視委員会としては無視できない。

規制改革推進室が入る内閣府庁舎

 2つ目の「卸電力市場の透明性確保」では、「発電所の稼働状況などに関する適切な情報開示の検討を早急に進め、今年度中に結論を出すべき」と注文をつけた。

 現在、発電情報公開システム(HJKS)は発電ユニット単位で、「計画停止」か「計画外停止」のいずれかで停止している電源の一覧を公表している。提言はこれでは不十分とし、「稼働状況」の公開まで求めた。これは、有識者会議でも具体的にはこれまでほとんど議論されてこなかった論点で、その意味では独自色の強い提言と言える。

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