2018年度は「大手電力と電源の相対取引を増やしたい」と考える新電力が相当数、存在する。日経BP社が運営する小売電気事業者(新電力)の会員組織「日経エネルギーNextビジネス会議」の会合で明らかになった。その背景には、厳しかった2017年度の事業環境がある。

今回の会合では、2017年度の振り返りと2018年度の展望をテーマに議論した
「日経エネルギーNextビジネス会議」2018年度の初回会合の様子

 日経エネルギーNextビジネス会議には約60社の新電力が加入。市場環境や経営課題についての情報を共有し、議論を重ねている。

 5月9日に開催した2018年度の初回会合は「2017年度の振り返りと2018年度の展望」をテーマに取り上げた。事前に加盟新電力にアンケート調査を実施。会合では、アンケートを元に議論を深めた。

 事前アンケートの結果から浮かび上がってきたのは、厳しかった2017年度の事業環境だ。2017年度の小売事業について聞くと、「想定通り」が41.9%、次いで「やや下回った」が38.7%だった。「やや上回った」と答えた新電力は12.9%にとどまり、「大きく上回った」と答えた新電力はいなかった。

 2018年度の小売市場の見通しを問うと、高圧部門で87.1%が「厳しくなる」、低圧でも67.7%が「厳しくなる」と答えた。大手電力の値引き攻勢も77.4%が「より厳しくなる」と回答し、改善すると答えた新電力は皆無だった。

 電力全面自由化の初年度に当たる2016年度に比べて、2017年度は卸電力市場が荒れた1年だった。既報の通り、市場価格は高騰。特に、冬場の価格高騰が新電力の経営を直撃した。「冬場の市場価格高騰で利益が吹き飛んだ」と明かす新電力も多い。

 その様子は、2017年度の電源調達に対するアンケート回答にも現れた。「順調だった」と回答したのは16.1%にとどまり、「やや苦しかった」と「ダメージを被った」を合わせると74.2%に上った。

 自前の発電所を保有するのは、多くの新電力にとって容易ではない。資本力が乏しい場合はもちろん、大手新電力であっても、不透明な事業環境の中での投資に二の足を踏んでいるのが実情だ。

 その結果、電源の仕入れ先として、自由化に伴う過渡的措置として大手電力から一定量の電源を購入する権利である「常時バックアップ」と、日本卸電力取引所(JEPX)からの市場調達に頼る新電力は多い。

 だが、冬場の高騰は市場依存のリスクを改めて新電力に突きつけることになった。ある新電力幹部からは「(最高で57.98円/kWhを記録した)2月の市場価格は異常というほかない。(市場リスクを回避するためには)がんばって相対契約電源を探すことにつきる」との声が上がった。

 アンケートで電源調達の見直しについて聞いたところ、71%が「相対取引を増やす」と回答した。特定の発電事業者とあらかじめ年間の購入量と価格を決めた取引を契約することで、夏場や冬場の市場価格高騰のダメージを緩和したいとする新電力が多数に上った。

新電力のJEPX依存度は高い。2018年度は経営の安定化のため「相対取引を増やす」と答えた新電力が多かった
出所:「エネルギーNextビジネス会議」が会員新電力を対象に実施したアンケート

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