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薬局は“破壊的創造”を自ら仕掛けよ(page 4)

【Opinion】山本雄士氏 ミナケア 代表取締役・医師

2017/03/29 10:00
大下 淳一=日経デジタルヘルス
出典: 日経デジタルヘルス特別編集版2017 薬局編,2017年3月6日 ,pp.36-41 (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)
薬局の新たな価値創造を可能にするイノベーション。それを主導するのは、果たしてどのような能力を身につけた人材なのだろうか。予防を軸とした新たな医療を担う人材を育てる「山本雄士ゼミ」を主宰するなど、後進の育成にも力を入れている山本氏は、次のように語る。

 医療を担う人材について感じるのは、「保健医療の価値」を語れる医療者が少なくなったということです。例えば、なぜ国民皆保険制度が必要なのか、なぜ健康・医療という領域は保険制度で支える必要があるのか、その説明責任を果たせる人がほとんど見当たりません。結果として40兆円という医療費の「額」だけが独り歩きし、糾弾されてしまっています。

 診療報酬が付くサービスに価値があり、そうでないものには価値がない。そうした価値観がまかり通るようになってから、医療にひずみが出てきたのではないでしょうか。確かに、医療の世界でもプロフィット(利潤)の追求は必要です。でもそれとは別の医療の価値がどこにあるかを語れなくては、次世代の医療を担う人材にはなれないと私は思います。

やまもと・ゆうじ
1999年東京大学医学部を卒業後、同附属病院、都立病院などで循環器内科などに従事。2007年に日本人医師として初めてハーバードビジネススクール修了(MBA)。日本内科学会認定内科医、日本医師会認定産業医。2011年2月に「健康を守り、高めることで、人々が社会に長く貢献できる世界を創る」を理念とする企業、ミナケアを設立。ソニーコンピュータサイエンス研究所リサーチャーを兼任。教育活動として山本雄士ゼミを主宰。
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 医療とビジネスの両方の言語が分かり、両者の間を橋わたしできる。そういう人材を育てることが、私が主宰しているゼミの狙いです。

 医療の専門職に就いている人材が、ビジネスのことも分かって経営陣にも意見を言える。または、その逆ができる人材がいる。そういう組織こそが健全ではないでしょうか。

 例えば今の介護業界を見わたしてみると、介護職員はまだワーカーとして働く形が多い。介護職員が経営にも口を出すというケースが果たしてどれほどあるでしょうか。

 薬局にはこれから、薬剤師とそうでない人材、そして経営者が本当の意味で連携できる組織を目指してもらいたいと思っています。ヘルスケアの価値は何かという議論をしたとき、経営者の言葉に「医療者の感覚からはそれは違います」と反論できるような人材が組織の中にいる。そんな薬局がどんどん増えてほしいと願っています。

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