JR山形駅から車で10分弱。山形大学医学部附属病院の敷地の一角で、世界最先端のがん治療施設の建設が進んでいる。「山形大学重粒子線がん治療施設」。東北以北では初の、重粒子線によるがん治療施設だ。建屋面積は45m×45mと、同施設として世界最小級。同病院の駐車場の片隅に、すっぽり収まってしまう大きさである。2018年度には東芝製の最新鋭治療装置が搬入され、2019年度に治療が始まる。

山形大学重粒子線がん治療施設の建設現場。建屋は大学病院と廊下で接続される(2017年11月時点、画像提供:山形大学)
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 研究色の濃い先進的な医療から、がんの日常診療における選択肢へ――。山形大学で進む施設建設が象徴するのは、重粒子線治療が迎えつつあるこんな変化だ。

 ここ数年で治療装置が大幅に小型化し、広大な敷地を必要としない都市型の治療施設が実現。患者負担を減らしつつ治療効果を高められる照射技術も登場した。これらが後押しする形で、国内外で治療施設の建設ラッシュともいえる状況を迎えている(表1)。治療装置メーカー、そして装置の使い手である治療施設がそれぞれタッグを組み、次世代を見据えた技術開発や症例集積、エビデンス構築をともに進めていく動きも始まった。

表1●国内で稼働中および建設中の重粒子線がん治療施設
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