これが「VR×ヘルスケア」最前線(page 4)

疾患体験・治療から介護、フィットネスまで

2017/10/10 11:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

臓器が丸見えになる

 (3)の医療情報の可視化については、医療従事者向けの手術支援や、一般の人が医療知識を理解するためなどに活用しようという事例がある。

 主に、画像診断と手術支援へのVR応用に取り組んでいるのが、HoloEyesである。自身が外科医である同社 取締役 COOの杉本真樹氏は、「開腹手術に比べて難易度の高い腹腔鏡手術の支援ツールとしても有用である」と話す。腹腔鏡手術においては、手術を平面的な内視鏡画像を見ながら行うため、光源がカメラに付いていると、上部から光を当てる開腹手術とは異なり「奥行きがわかりづらい」(杉本氏)。そこで、VRアプリケーションで、臓器やがんなどの立体感を光や影により自然に再現できれば、医師の理解の手助けとなると考えている。

手術中にVR映像を活用している様子(画像提供:HoloEyes Inc.)
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 内視鏡映像を平面的な小さいディスプレーに映し出す場合、内視鏡の先端からの一方向からしか見ることができない。しかし、VRアプリケ―ションにすれば、「自分が見たいように自由に、正面や側面、背面など360度から見ることができる」(同社 代表取締役 CEOの谷口直嗣氏)。医学知識の教育や手技の修練においても多角的に捉えることができることは重要であると説く。

(左)HoloEyes 取締役 CSOの新城健一氏、(中央)HoloEyes 代表取締役 CEOの谷口直嗣氏、(右)HoloEyes 取締役 COOの杉本真樹氏
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 こうした応用などに向けて、HoloEyesが手掛けているのが、患者のCTやMRIなどの画像を使ったVRアプリケーションの作成とデータ共有サービスである。例えば、肝臓や腎臓といった臓器やがんなどの病変のVRアプリケーションを作成できる。CTやMRIなどの画像からの臓器抽出は、現在手作業と機械学習で行っており、「肝臓であれば5~10分くらいでできる」と杉本氏は言う。

 ただし、「まだ医療現場では、必要とされる状況やコンテンツがまだ十分に認知されていない」と杉本氏は話す。例えば、術前シミュレーションに活用するにしても、没入感を求める人もいればそうでない人もいる。「医師のニーズを踏まえながら、患者の利益に還元できるコンテンツを提供していきたい」と同氏は語る。

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