売り手から使い手に転身

 次世代シーケンサー最大手のIllumina社を飛び出した日本人2人が、2017年2月に立ち上げたベンチャー。それがVarinos(バリノス)だ。次世代シーケンサーを使って、医療機関向けに臨床検査の受託解析などを手掛ける。Varinos 代表取締役の桜庭喜行氏はIllumina社日本法人のイルミナで臨床向けなどのセールスに携わり、取締役&CTOの長井陽子氏はシーケンシングスペシャリストの立場にあった。

Varinos 代表取締役の桜庭喜行氏(左)と同社 取締役&CTOの長井陽子氏は、イルミナを飛び出して起業した
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 同社はまずは産婦人科・生殖医療向けのサービスを始める考えで、子宮内フローラ(細菌叢)の解析を手掛けるという。健康な女性の生殖器には、ラクトバチルス属と呼ばれる菌が多く生息している。この菌が何らかの理由で減ると、細菌性膣症などの産婦人科疾患を引き起こすとされる。

 そこで同社のサービスでは、子宮内膜細胞擦過や細胞吸引で採取した試料を基に、子宮内のフローラ、すなわち細菌の共生バランスを網羅的に解析する。次世代シーケンサーの最先端の成果を取り入れた事業であり、次世代シーケンサーを「子宮内細菌叢の解析に使えるようになったのはここ1~2年のこと」(長井氏)だという。

 桜庭氏は「世界の水準から見て取り残されている日本のゲノム医療を盛り上げたいと考えて起業した」と語る。日本はグレーゾーンの多いゲノム医療には消極的な事業者が多いといい、「新規の臨床検査サービスの開発に関心を寄せるのは外資系企業や外資系ベンチャーだけで、国内ベンチャーも国内大手企業もなかなか手を挙げようとしない」(長井氏)。次世代シーケンサーの使い手が日本には少なかったことから、自ら使い手の立場に回ったというわけだ。

 急ピッチで進むゲノム解析技術の進化を取り込みつつ、「規模が小さいからこそできる柔軟性の高いサービスを提供したい」と桜庭氏は話す。まずは産婦人科・生殖医療を対象とするが、ニーズを見極めつつこれ以外の領域の事業も検討するという。「グレーゾーンに踏み込むリスクを取れる事業者が、日本には少ないと感じてきた。我々はグレーゾーンに踏み込むことも恐れず、ゲノム医療における問題提起をしていきたい」(桜庭氏)としている。

■変更履歴
4ページ目第3パラグラフで、サービスの提供価格や提供体制に関する内容を一部追記・修正しました。
■変更履歴
5ページ目第3パラグラフおよび第4パラグラフの長井氏のコメントについて、記事初出時の記載に一部追記しました。