生保大手3社は、デジタルヘルスをこう攻める(page 3)

加速する“保険×デジタルヘルス”(下)

2017/06/26 08:30
大下 淳一=日経デジタルヘルス

AIやデザイン思考を取り込む―――明治安田生命保険

「人工知能・ICT」「ヘルスケア」「オープンイノベーション」「デザイン思考」を成長戦略の柱に(出典:明治安田生命3カ年プログラム「MYイノベーション2020」)
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 明治安田生命は2017年3月、2020年までの中期経営計画を発表し、成長戦略の一つに「先端技術等によるイノベーション」を掲げた。その重点テーマに定めたのが「人工知能・ICT」「ヘルスケア」「オープンイノベーション」「デザイン思考」の4つ。そのいずれもが、デジタルヘルス分野の鍵を握るといえる要素だ。

 「イノベーションは、何かと何かを組み合わせることで生まれる。Uberが革新的だったのは、スマートフォンによる配車と決済という2つのサービスを組み合わせたこと。この組み合わせはなかった、と気付かせるようなものこそがイノベーションと呼ぶにふさわしい」。重点テーマの一つにオープンイノベーションを掲げた理由を、同社の薄井氏はこう説明する。

 オープンイノベーションを加速させるべく同社は、新しい生命保険ビジネスの創造を目的とするハッカソン形式のイベント「明治安田生命ハッカソン」を2016年12月に立ち上げた。スタートアップ企業などが新しいビジネスアイデアを競うもので、ヘルスケアも扱うテーマの一つだ。

 2017年2月には、ヘルスケアベンチャーのFiNCと、企業の健康経営を支援する法人向けプログラムの共同開発に着手。重点テーマのうち、「人工知能・ICT」「ヘルスケア」にまたがる取り組みである。

 明治安田生命はこれまでも、企業保険の加入者向けに健康や医療機関の情報を提供するなど、健康支援の取り組みを行ってきた。そのノウハウにFiNCの持つテクノロジーという要素を足し合わせることで、「パッケージ化することで生まれる新たな価値を提供したい」と薄井氏は話す。

明治安田生命保険 企画部 イノベーション調査室の薄井大輔氏
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 明治安田生命の保険・健康分野の知見と、FiNCのAI(人工知能)技術などを融合した新たなヘルスケアサービスの開発も検討する。「ディープラーニングの登場によって、(膨大なデータから)法則を見つけることができるようになった。人間が考えていることを、機械が瞬時にこなせる時代が来た」(薄井氏)と、AIに寄せる期待は大きい。AIを含め、ICTについては「従来は自社で取り組むことが多かったが、なかなかスピード感が出なかった」(同氏)としている。

 共同開発の成果として、両社が2017年6月に提供を始めたのが、中小企業向け健康経営サポートサービス「MY健康増進サービス」である。従業員向けと経営者・人事・総務担当者向けのサービスから成る。従業員向けには、スマートフォンアプリを用いたライフログや、その結果に基づくAIによるアドバイスなどを提供。生活習慣や健康に関する疑問について、各専門家にチャットで相談できるサービスも提供する。経営者・人事・総務担当者向けには、従業員の心身の健康に関するサーベイ(アンケート調査)などを実施する。

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