「とりあえず睡眠薬」はもう終わり(page 4)

“眠り”を誘うデジタルヘルス・ソリューションが続々

2017/05/15 08:30
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

(2)一般向けソリューション
体内時計調整アプリから入眠支援デバイスまで

 一般向けソリューションのうち、(c)の体内時計を整えるスマートフォンアプリが、O:(オー)が開発する「睡眠コーチングサービスO:」である。2017年3月21日に法人向けに提供を開始、社員研修などで従業員の睡眠改善に活用してもらうことを想定する。

“実質寝ている時間”をアプリで増やす

O: CEOの谷本潤哉氏
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 このアプリは、認知行動療法の1つである睡眠スケジュール法(睡眠圧縮法)を使って寝る時間をコントロールすることで、体内時計を整えるもの。体内時計とは眠くなったり目が覚めたりするリズムのことで、個人によってばらつきがある。夜遅い時間にも関わらず眠れないのは、「実際の時間と体内時計が一致していないから」とO: CEOの谷本潤哉氏は話す。同氏によると、体内時計に狂いが生じ始めたのは、人が夜に活動できるようになったことが原因だという。夜遅くまで光を浴びながら仕事をすることで生活習慣が乱れることも原因だ。

 そこで睡眠コーチングサービスO:は、ベッドに入っている時間のうち“実質寝ている時間”を増やすために、就寝時間に関してコーチングを行う。ベッドで眠れない時間を減らすことで、眠れない不安を取り除くというわけだ。具体的には、利用者がアプリ画面に入眠時間や起床時間を入力すると、睡眠パターンを分析。「無理に早くベッドに入らなくていい」「あなたはこの時間に寝た方がいいですよ」などのコーチングアドバイスが返ってくる仕組みである。

「睡眠コーチングサービスO:」画面イメージ(画像提供:O:)
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 同アプリで、就寝時間に着目したのは、不眠症の人には、たくさん寝なくてはいけないと思うあまり、普通の人よりも早くベッドに入る傾向が見られるため。「ベッドに早く入るのは一見合理的だが、ベッドに居るのに眠れない状態が慢性化してしまうことで、かえって不眠を助長してしまう恐れがある」(谷本氏)という。

 O:は現在、睡眠コーチングサービスのほかに体内時計を可視化するデバイスの開発も進めている。測定した生体情報から体内時計を算出するもので、刻一刻と変化する体内時計の変化を日々キャッチアップすることを目指す。2018年2月を目途に、同デバイスを併用した睡眠コーチングアプリを提供する。

 体内時計を正確に測定できるデバイスは「まだ世の中に存在しない」と谷本氏は話す。重度の睡眠障害患者に対して、採取した血液中のメラトニンの分泌量から覚醒度を測るという方法が行われているが、「より手軽に測定できるデバイスを開発する」(同氏)考えだ。

 開発中のデバイスを組み合わせたアプリが適している対象者として、谷本氏はトラック運転手を挙げた。過酷な労働環境で不眠症になりやすいにも関わらず、居眠り運転の恐れがあるため睡眠薬を服用することができないからだ。体内時計を可視化することができれば、覚醒度と睡眠の情報から、1日の中で何時に眠くなるのかを予測することも可能になる。眠くなる時間をあらかじめ運転手に伝えることで、「その時間は高速道路を利用しないようにしたり、事前にカフェインを摂取したりと対策をとることができるのではないか」と同氏は展望する。

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