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“排泄”はデジタルヘルスの新鉱脈となるか(下)

2017/03/08 05:00
大下 淳一=日経デジタルヘルス

“せんず”の開発にも?

トレードマークの帽子とTシャツを身につけたウンログの田口氏
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 腸内には、肥満を抑える効果を持つ菌やそれとは逆の効果を持つ菌、肌の調子を整える効果を持つ菌など、多種多様なタイプの菌が存在する。生活習慣などによってそれらのバランスが崩れると、太りやすくなったり、肌の調子が悪くなったりする。

 「腸内フローラの働きは実に不思議で、そのバランスによって食べた物の吸収や代謝の効率が大きく変わる。世の中にはフルーツしか食べないような極端な食生活を送っている人がいるが、そうした人は腸内フローラが変化し、腸内細菌の働きによってたんぱく質などを補える体になっていると考えられる。抗生物質を多く摂取していると良質の腸内細菌が死んでしまい、腸内フローラの多様性が失われることも知られている。アフリカなどにアレルギーをまったく持たない人が見られるのは、そうした影響を受けていないためと考えられる」。腸内フローラの性質や役割について、ウンログ 代表取締役の田口敬氏はこう話す。

 ウンログの腸内フローラ検査では、利用者に採取・送付してもらった便を次世代シーケンサーで解析。約1カ月後にメールで結果を返す。さまざまな腸内細菌を「バランス調整菌」「バランスかく乱菌」「能力未知菌」に分類し、腸内フローラのバランスをその比率で示したり、ビフィズス菌やフィーカリ菌といった具体的な菌種とその存在比率、他者との比較などを示したりする。

腸内フローラ検査の結果説明例。「バランス調整菌」「バランスかく乱菌」「能力未知菌」のバランスを解析
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 このサービスには一般消費者だけでなく、アカデミアや企業から高い関心が寄せられているという。特に強い興味を示しているのが製薬企業や食品メーカー、医療機関など。共同研究案件がいくつも舞い込んでいる。「腸内フローラは創薬や診断のヒントが隠されている“宝の山”。できるだけ多くのサンプルを集められないか、という声を受け取っている。医療機関では、患者のデータは集められても健康な人のデータは集めにくい。(ウンログの総ダウンロード数で)50万という健康なユーザーを持つ我々がそこに貢献できる」(田口氏)。

 製薬企業が関心を寄せているのは、腸内フローラが薬の代謝効率に深く関わり、治療効果や副作用に大きく影響するため。ある薬が患者に有効かどうかを調べる上で、腸内フローラ検査を薬剤投与前のコンパニオン診断のような形で使える可能性があるのだ。疾患との関わりについても「アレルギーやアルツハイマー病、糖尿病、がんなど多様な疾患との関係が明らかになってくるはず」と田口氏は見る。

 食品メーカーとの協業では、腸内フローラに働きかけて健康や美容につながる食品の開発などが考えられる。「せんずの開発にもつながるかもしれない」(田口氏)。せんずとは、漫画「ドラゴンボール」に登場する、高い回復作用を持つ架空の食べ物。腸内フローラに着目し「食物の吸収効率を高めるというアプローチによって、量をたくさん食べなくても栄養が取れるタイプの食品を生み出せる可能性がある」(田口氏)というわけ。腸内フローラは、世界の食糧問題の解決の一助となるポテンシャルも秘めている。

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