まずは“可視化”、そこから議論を始めよう

円城寺雄介氏 佐賀県 政策部 政策課 さがデザイン担当 主査

2017/02/07 15:15
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス
 2020年は、日本経済にとって投資の限界点となるのではないでしょうか。それまでに新しい技術を使って医療や福祉、介護の状況を可視化する必要があるといえます。医療費の増大で財政が破綻しそうな現状も、ぴんときていない国民がいます。それが自分にどう影響するのかを可視化し、国民と課題を共有したうえで行政が政策を打ち出す社会になればと思っています。

佐賀県 政策部 政策課 さがデザイン担当 主査の円城寺雄介氏(写真:加藤康、以下同)
クリックすると拡大した画像が開きます

 佐賀県では2011年からすべての救急車にタブレット端末を配備しました。救急現場の大変さを可視化することで、行政として何をすべきか見い出そうと考えたのです。搬送先が探せずに患者を“たらい回し”にしてしまうことを防ぐため、リアルタイムに搬送の情報を共有する狙いもありました。

 今回の座談会では、「あったらいいなではなく、なくてはならないシステムを」という議論がありましたが、タブレット端末の導入は“あったらいいな”から始まったものでした。当初は、「そんなばかなことをするなら医師を増やせ。ドクターヘリを入れろ」と賛同を得られませんでした。

クリックすると拡大した画像が開きます
 しかし、タブレット端末による救急現場の可視化は、結果として新しい政策に結び付きました。搬送データを分析し、2014年にドクターヘリの導入を決めたのです。1クールとして定めた3年間の運用が終わるころには、タブレットは現場にとって「なくては困る」ものになりました。

 不必要な物に投資をする必要はありませんが、死ぬまでにどう生きるかという選択肢を技術によって増やすことができます。例えばロボットスーツがあれば、身体が衰えても農作業ができます。これはロボットスーツの技術がなくては、農作業をするという選択肢すら与えることができません。デジタルヘルスの技術を使って生きるパターンを提示し、新しい社会の形を議論していければと思います(談)。

お知らせ

ピックアップPR

もっと見る

記事ランキング