日常診療で臨床医がすぐにでも活用できるAIシステムとして期待を集めているのが、自治医科大学が複数の企業と共同で開発に取り組んでいる総合診療支援システム「ホワイト・ジャック」だ。

 このシステムは、患者の症状を入力すると複数の鑑別疾患を挙げ、それぞれの疾患の確率を算出するもの。「総合診療医が患者の症状から鑑別疾患を挙げて診断を絞り込む行為をAIで実現したいと考え取り組み始めた」と開発責任者を務める自治医大地域医療学教授の石川鎮清氏は語る。

 ホワイト・ジャックには、鑑別の感度・特異度に関する情報が含まれた論文や教科書などを学習させている。そこに新規患者の診療情報を登録すると、可能性の高い鑑別疾患とその確率、鑑別に必要な検査項目、過去に同じ疾患と診断された患者が処方された薬剤名が示される(図5)。

図5 鑑別診断をサポートする「ホワイト・ジャック」を使った診療の概要(石川氏への取材を基に編集部作成)
予診や問診、診察で得た情報を登録するたびに、ホワイト・ジャックが次世代地域医療データバンクのデータを参考にしながら鑑別疾患の確率を算出する。結果として示された疾患に応じて、鑑別診断に必要な検査項目や処方薬のリストも提示する。
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 このシステムの最大の特徴は、問診や検査結果など、新たな情報を追加するたびに、その時々で最適と考えられる鑑別疾患のリストと必要な検査項目、処方薬をAIが繰り返し検討して表示する点だ。「追加データを得るたびに繰り返し臨床推論をさせることで、表示される疾患名と、その確率が変わる。その変動が診断の参考になるはずだ」と石川氏は説明する。