遠隔医療の着実な推進に向けた課題を整理する(page 4)

「法的課題」「臨床ガイドライン」「エビデンスの創出」を議論

2017/12/13 10:00
増田 克善=日経デジタルヘルス

医療提供システムの一形態として考えるべき

 (3)のエビデンス創出の課題については、国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究の佐藤大介氏が、厚生労働省の地域医療基盤開発推進研究事業として進められている「遠隔診療の有効性・安全性に関するエビデンスの飛躍的な創出を可能とする方策に関する研究」について報告した。

国立保健医療科学院の佐藤氏
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 佐藤氏は、この研究事業で調査した英文原著論文152編のうちの5論文の概要を紹介し、遠隔診療のエビデンスにおける課題を次のように述べた。「エビデンスレベルの高い研究デザインによる比較試験などでは、遠隔診療の有効性が対面診療よりも優れているという領域は限定的だと考えられる。また、リモートセンシング技術などの医療機器については、比較対照技術の設定が難しいために一定以上のエビデンスレベルの研究報告を生み出すことが難しい」(佐藤氏)。

 遠隔診療の費用対効果あるいは医療経済評価の観点では、「医療提供体制が充足し、公的サービスが広く均質的に受けられる国では、対面診療と比べてもあまり変わらない、むしろ対面診療の評価が高いといった論文もいくつかある」(佐藤氏)と指摘。特に都市型の遠隔診療では、その傾向が顕著だという。

 こうした点を踏まえ佐藤氏は、遠隔診療が対面診療と比較して対立的に議論される風潮は、地域医療体制のゆくえを議論する中で方向性を見失う懸念があると指摘する。「ヘルスケアICTを地域包括ケアに取り込み、統合した医療提供システムの一助として遠隔診療の未来を考えていくことが重要だ」(同氏)と述べた。

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