第35回医療情報学連合大会(第16回日本医療情報学会学術大会)の大会テーマである「医療情報の利活用とプライバシー保護~二兎を追え~」。その実現のための重要な要素の1つが「医療等ID」だ。大会企画の1つとして開催されたシンポジウム「医療福祉分野の番号制度のあり方」では、マイナンバー制度のインフラを利用した医療等IDの仕組みについて、現在まで議論されてきた内容、今後検討すべき点について提言された。

 冒頭の基調講演に登壇した日本医師会会長の横倉義武氏は、日本医師会のICT戦略について述べた。そのポイントは大きく4つ。すなわち、医療・介護情報連携を実現するICT化の追究、ORCA事業や日医認証局等の医療情報ICT化の共通基盤の構築、ナショナルデータベース(NDB)やDPCデータ等の取り扱い関与などによる医療情報ビッグデータ、そして医療等IDの創設、である。

日本医師会会長の横倉義武氏
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 日本医師会は、社会保障・税番号制度のマイナンバーを医療現場で使用することに一貫して反対してきた。個人を識別する共通番号の必要性を認めた上で、「生涯にわたって一貫した医療記録として名寄せできる可能性があり、漏えいした場合は取り返しがつかない。医療等分野では差別だけが問題でなく、単に誰にも知られたくない、思い出したくない情報がある。国民が必要としたときに、変更等が担保されたマイナンバーとは異なる医療等IDの必要だ」と訴えてきた。それが2014年11月に発表された日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会による「医療等 IDに係る法制度整備等に関する三師会声明」である。

 その後、日本医師会に「医療分野等ID導入に関する検討委員会」(委員長:山本隆一氏)を設置し、これまで6回にわたって議論してきた。2015年5月までの3回の議論を通して決定した、(1)個人番号(マイナンバー)を医療分野で用いない、(2)マイナンバーに替えて医療等IDを創設する、(3)現行の保険証を活用して医療等IDを保険証に記載する、(4)個人番号カード(マイナンバーカード)をオプションとしてオンライン保険資格確認にのみ利用する、という4項目を横倉氏は明示。これを受け、「(同年)6月に決定した『日本再興戦略改定』2015に医療等分野における番号制度が明記された。さらなる具体化に向けた検討を継続中である」(横倉氏)と述べた。