オランダNXP Semiconductors社は、「Arm TechCon 2017」の展示会場にブースを構え、英Arm社のCPUコアをベースにした3種類のプロセッサーICを新規発表した。(1)「クロスオーバープロセッサー」と名付けた新種のプロセッサーIC「iMX RTシリーズ」、(2)Bluetooth 5準拠の車載向けMCU「Kinetis KW35/36」、(3)NFC対応のMCU「LPC8N04」である。

「Arm TechCon 2017」の展示会場の入り口。日経テクノロジーオンラインが撮影。
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 (1)のiMX RTシリーズは、MCUとアプリケーションプロセッサーICの間を埋める新種のプロセッサーだとして、クロスオーバープロセッサーと名付けた(ニュースリリース1)。既存のMCU並みに低価格なことや、既存のMCU開発環境が利用できることなど、MCUとしての仕様を備えながら、既存のMCUよりも高速処理ができる点がポイントである。iMX RTシリーズには「i.MX RT1050」と「i.MX RT1020」の2製品があり、どちらもCPUコアは「ARM Cortex-M7」。前者の動作周波数は600MHz、後者は500MHzである。同社によれば、既存のMCUでは動作周波数は最大400MHzだったという。iMX RTシリーズはIoTシステムのエッジデバイス(機器)に向ける。具体的な応用先としては、オーディオサブシステム、民生機器、ヘルスケア機器、ホーム/ビルディングオートメーション、産業用コンピューティング、モーター制御、電力変換などを挙げる。

「iMX RTシリーズ」の機能ブロック図。NXPの図。
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 チップ構造は、ベースになったというアプリケーションプロセッサーIC「i.MX 6ULL」に近い(関連記事1)。例えば、一般的なMCUが内蔵しているフラッシュメモリーは、i.MX 6ULL同様に新製品も備えていない。一方で、i.MX RT1050は512Kバイト、i.MX RT1020は256Kバイトと大容量のSRAM/TCM(Tightly Coupled Memory)を集積する。高速CPUコアと大容量SRAM/TCMのおかげで、リアルタイムに近い応答が可能になるといい、シリーズ名の「RT」はリアルタイムを意味する。なお、i.MX RT1050の割り込みレイテンシーは20ns以下だとする。

 内蔵していないフラッシュメモリー(NANDおよびNOR)や、SDRAM、SRAMを接続して使えるメモリーコントローラーを備える。このほか、DC-DCコンバーター、A-D変換器、アナログコンパレーター、セキュリティー回路、CAN、各種外部インターフェースなどを集積する。さらにi.MX RT1050は、2次元グラフィックスアクセラレーターやLCDインターフェース、カメラ(CSI)インターフェースを備える。

 パッケージはi.MX RT1050が196ボールのBGA。i.MX RT1020は100ピンまたは144ピンのLQFP。民生向け製品の温度範囲は0~+95℃。産業向け製品は-40~+105℃。1万個発注時のチップ単価はi.MX RT1050が2.98米ドルから。i.MX RT1020は2.18米ドルから。i.MX RT1050は現在出荷中。i.MX RT1020は2018年第2四半期に出荷開始予定。

 アプリケーション開発には、同社のMCUXpressoおよび、スウェーデンIAR Systems社や英ARM社(Keil)のツールなどが使える。また、i.MX RT1050の評価キット「MIMXRT1050-EVK」を79米ドルで用意している。

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