島津製作所だけで解決できる問題ではない

 島津製作所と島津テクノリサーチは、2018年8月から血液を使って脳内のアミロイド蓄積度合いを推定する受託分析「アミロイドMS受託解析サービス」を開始した。これは、田中氏が発明した質量分析の技術を使って発見した成果を応用しており、アルツハイマー病患者の脳内に蓄積するとされるアミロイドの蓄積度合いを血液から推定できるサービスである。

 受託分析の目的は、あくまでも「治療薬や予防法の開発に使ってもらうこと」と田中氏は強調する。現時点でアミロイドβが蓄積していることが分かっても、治療や予防に関して打つ手がないため、被検者を困らせてしまうからだ。

 この技術を早期診断に向けて実用化するためには、治療や予防、保険などについて検討し、総合的に解決しなくてはいけない。これは島津製作所だけで解決できる問題ではないとし、「さまざまなプレーヤーが会するこの場所で話すことで、一緒にできそうなことを考えてもらえれば」と同氏は呼び掛けた。

 少子高齢化を始めとしてさまざまな課題を抱える日本は、課題先進国である。「どうしよう」「大変だな…」「日本はだめなんじゃないのか」という思いは危機意識として必要でもあるが、もう少し自信を持つべきだと田中氏は説く。

 日本は過去に、欧米に先んじて公害や感染症などの社会課題を解決してきた。つまり、課題を解決する先進国でもあったわけだ。これに習って、今後も「日本はこのように課題を解決したから、参考にしてくださいと他国に言える国でいたい」と同氏は意気込んだ。