田中耕一氏の発明、日本の“漫画文化”が鍵だった(page 2)

複雑なものを簡略化すれば、異分野融合の道が開ける

2018/11/01 09:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

“漫画”の存在が分野を超えて発想できる基礎に

 大学で電気を学んでいた田中氏は、畑違いの化学分野で革新的な発明を行えたことが「自分自身でも不思議」と言う。その発明を可能にした理由こそが、“教科書に書かれている知見さえ知らない”という言葉に隠されている。

 科学技術のデータは、模式図を使った説明をすることが多い。複雑なものを簡略化して漫画(イメージ)で表すことで、異分野の人にも分かりやすいように説明することができるからだ。これによって、分野を超えたアイデアを取り入れやすくもなる。

講演する田中氏
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 これは、「漫画が文化として根付いている日本ならでは」と田中氏は見る。文化として漫画が確立していることが、分野を超えて発想できる基礎になっていると考えている。こうした文化こそが、質量分析の発明を手助けしたと田中氏は振り返る。

 実は、質量分析の技術自体が、学術間の連携なしには成り立たない技術だと田中氏は言う。工程ごとにさまざまな分野の知見が必要であり、例えば、検体の前処理には医学、見たい物質をイオン化する工程は化学、イオンを大きさ事に分けるイオン分離は物理、データ解析は電気や通信――といった具合だ。人が一度に考えられる仮説には限界があるからこそ、異分野の協力によって新しい技術を発明できたと同氏は考えている。

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