経産省が説く、ベンチャーイノベーション(page 3)

2018/10/31 10:30
近藤 寿成=スプール

疾病発症後の人が利用できるリソースが少ない

 高熊氏の講演に続くベンチャー企業によるピッチでは、まずPREVENT 代表取締役の萩原悠太氏が登壇した。同社は、名古屋大学医学部発としては初のベンチャー企業。企業の健康保険組合や生命保険会社を対象に、病気を治療している従業員や保険契約者の健康づくりを支援することで、医療費や疾病発症の抑制を推進している。

PREVENT 代表取締役 萩原悠太氏
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 具体的には、健康保険組合向けとしては、レセプトや健診データを活用した医療データ解析事業「Myscope」と、インターネットを介して生活習慣改善を支援する重症化予防支援事業「Mystar」を展開中。Mystarの利用者は、スマホアプリから各個人にあった生活習慣指導のアドバイスが受けられる。

 海外では、退院後の脳梗塞患者に再発プログラムへ参加してもらうなど、既住者向けの疾病マネジメント支援が進んでおり、米国では民間の保険会社が主導して「Disease Management Program(DMP)」を積極的に行っている。しかし、日本では同じような仕組みが整っておらず、「健康な人や健康に関心のある人が利用する健康サービスは充実しているものの、疾病を発症した後の人が利用できるリソースは圧倒的に少ない」(萩原氏)。そこでPREVENTは、その領域に対して健康づくりの支援策を提供していく考えだ。

 PREVENTとしては、「DMPのようなサービスで、社会保障の問題にどれだけ貢献できるかを常に考えている」と萩原氏は説明する。医療費は国民全員が平均的に使っているのではなく、一部の人が大きく使っている状況にある。それを踏まえると、医療費を適正化するためには、病気を持った人あるいは今後医療費を使う可能性が高い人に対して、積極的にアプローチしていくことが必要となる。萩原氏は、「『医療費をどれだけ適正化できるのか』が、我々の事業ミッションになる」と力強く語った。

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