専門医による「遠隔集中治療」を実現、T-ICU

専用端末で患者データを共有

2018/10/18 19:50
河合 基伸=日経 xTECH

 T-ICUは、「デジタルヘルスDAYS 2018」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)で、集中治療の専門医による遠隔集中治療を実現する「遠隔ICU」の取り組みを紹介した。重症患者に対する診療レベルの向上に加えて、現場の医師の負担軽減、医療費の削減などにも効果があるとする。

 日本には医師が約32万人いるが、集中治療の専門医は0.5%の1600人程度にとどまる。集中治療室(ICU)を設置する病院の多くに集中治療の専門医がいないという。T-ICUの代表取締役で医師でもある中西智之氏は「専門医の医療を届けたい」として2016年10月に同社を設立した。

専用端末で患者のデータを表示する画面を転送してもらう
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 T-ICUが開発した遠隔集中治療支援システムは、専用端末のHDMI端子に心電図モニターや電子カルテ端末などを接続して、患者のデータを表示する画面を転送してもらう。病院のネットワークに接続する必要はない。ビデオ会議機能を利用して、共有した画面を見ながら専門医が相談に応じる。2018年6月に千葉県の病院が導入した。

米国では死亡率が改善

 米国では20年ほど前から遠隔ICUの取り組みが始まっており、ICUでの死亡率が17%低下し、ICUでの入院期間が0.63日短縮されたという。病院での死亡率も26%低下した。米国で実績を挙げた遠隔ICUを、T-ICUが日本に定着させようとしている。

デジタルヘルスDAYS 2018のオープンシアターに登壇したT-ICUの中西氏
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 中西氏は日本で遠隔ICUを定着させるには認知度の向上が欠かせないとする。集中治療の専門医が少ないことや、対策として遠隔ICUが存在することを知ってもらう必要がある。システムを改良するために協業する企業も必要とした。

 現在T-ICUでは、18人の医師で24時間体制で遠隔ICUに対応している。中西氏は「24時間365日に渡って医師が待機する遠隔ICUは、在宅医療や災害医療などにも応用できる」との将来像も示した。災害医療では一気に多くの患者に対応しなければならない。通信手段さえ確保できれば、集中治療の専門医がサポートできる。